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本人が望む普通の生活を実現する制度(第7回目)〜身上監護の位置づけ〜

 01, 2010 06:57
 以下のセミナーを受講して、本人が望む普通の生活を実現する制度(第7回目)について、第6回目に続いて述べる。

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○ 11月17日(水)「(2010年度)第12回権利擁護セミナー」
○ 会場=日本財団(東京都港区赤坂)
○ テーマ=「これからの成年後見と虐待防止〜知的障害のある人の権利をまもる〜」
○ 主催=社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会
○ 第1部 基調講演 11/17水曜日、10時〜10時50分
○ 基調講演講師 細川瑞子氏(全日本手をつなぐ育成会・権利擁護委員・中央相談室長)
○ 基調講演テーマ「身上監護の福祉システム化をめざして〜本人の『生きる』を支援するために〜」

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【講演内容】

《財産管理から身上監護》

 細川氏は、「成年後見制度は財産管理はあくまで手段であり、身上監護を目的とすべきだとして」次のように指摘する。

1 「知的障害者の支援を考える場合、成年後見制度の目的は『身上監護』であり、『財産管理』はその手段と位置づけるべきである。」
 
2 「身上監護とは、『いかに生きるのが良いのか』を考え、決め、実行することであり、その場合、『QOL』の視点が重要になってくる。」

3 「財産管理とは、生活していくためのお金がきちんと得られ、奪われず、有効に使われることであり、生活の手段である。」

4 「知的障害者が得ているお金を、自分が豊かに生きるために、有効に使うには、様々な情報を得て、どんな生き方をしたいのか、できるのか、そのためには何が必要なのか、多くの選択と決定をする必要がある。」

5 「その選択や決定する能力に問題がある知的障害者の場合、誰が情報収集、選択、決定をするのかが問題となる。」

6 「知的障害者支援を家族問題だとすれば、これは家族が担うことになる。」

7 「自己決定を貫けば、すべてを本人が担うことになろう。」

8 「一方で、社会問題だとすれば、社会の中に身上監護を目的とするシステムを作り、法的権限ある後見人による支援を、そのシステムの中核と位置づけることが導かれよう。」

9 「知的障害者の一生の(安全な)豊かさとは、いかなる身上監護が行われるかに、大きく依拠することになる。」

10 「これまで親がすべて担ってきた支援、言い換えれば、親次第ともいえる管理的な支援からの脱却は、社会にしっかりとした身上監護システムが立ち上がらない限り、進展することはあり得ない。」

11 「しかしながら、現在、身上監護システムとは何なのか、いかなる考えに立ち、どのように進めればよいのか、必ずしも明確になっておらず、それどころか、成年後見制度における身上監護自体の位置づけすら未だに不明確である。」

12 「それは、裁判所に一任されている成年後見人の報酬決定が、身上監護面を見ず、本人の財産管理とその額に大きく依拠していることでも明らかである。」

13 「早急に、知的障害者の身上監護の価値とその内容を明確にし、それを後見報酬にも反映させるようにすることが必要であろう。」

14 「身上監護業務を明確にすることは、職業や価値観等、後見人自身の資質に左右されない、客観性が担保されることにもなる。」

15 「ある程度の標準化がされることは、社会的に見て公正な支援が担保されることにもなろう。」

16 「一方の後見報酬について、本人による全額負担を脱するには、社会問題である知的障害者の支援を福祉制度の中に位置づけることが必要になる。」

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 以上、知的障害者にとって、成年後見制度が必要とするのは、財産管理よりも、身上監護である。
 そして、その経費負担が本人の全額負担になっていることは、問題である。
 山形県育成会としても、そうした問題点を社会に対して積極的に訴え、納得してもらう必要がある。
 いずれにしても、成年後見制度を実際に活用している人の事例を調べ、どこがどのように使いづらいのか具体的に明らかにすることである。
 ただ、今のところ、私たちの周囲に成年後見を利用している人の話を聞かない。
 まだまだ、施設に任せておけばいい、親元で面倒見ているからいい、親はまだ若いからいいと、親なき後のことを先送りしているケースが多いのだろう。
 しかし、いずれ親が亡くなってからでは遅い。
 自分の子どもにとって、将来的な生活がいつまでも安心安定するためにも、成年後見のあり方について真剣な取り組みが必要ということである。
 (ケー)
 
 (第8回目に続く)
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