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知的障害者の高齢化対策

 10, 2010 22:33
 高山和彦氏(神奈川県・社会福祉法人 同愛会)は、知的障害者の高齢化問題が不十分な状況にあることを、次のように指摘する。

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【引用始め】

 高齢化社会に知的障害者も包摂されている。この当たり前な事実に思い至る人が少ない。知的障害者のある方々も高齢化している。40代、50代のダウン症や重症心身障害の方々が、自分らしい人生を歩いている社会が実現した。だが、知的障害の高齢化の定義を暦年齢とすることの妥当性等の未確定な課題もあり、知的障害者の高齢化対策は手つかず状態だ。
 周知の通り、知的障害者の老年期は同一世代の人たちと同様「多様」で「個別」的である。この多様性・個別性を踏まえることが、高齢者援助の必要条件であり求められる姿勢である。知的障害者も死の直前まで自身の内発的発展を生きる。その多様な営みを支える環境を創ることが社会(福祉)の役割である。知的障害を含む高齢者に対して介護保険制度がもつ欠陥は、変化し発展する人間の可能性に対して閉じた思想をもって対応していることにある。
 (中略)
 ところで、1960(昭和35)年の精神薄弱者福祉法制定後、とりわけ1970(昭和45)年以降の全国規模で生じた入所施設の量的整備によって、入所施設を利用してきた方々の高齢化問題は緊要な課題となっている。当時の施設設置基準の大幅な変更がない環境の中で暮らしを営む多くの高齢知的障害者の「生きることの意味」が問われている。一生を「収容施設」暮らしさせる人生を誰が決めたのだろうか。私たち施設関係者は大きな課題を抱えてたたずんでいる。
 残念なことに、障害者自立支援法は知的障害の高齢化に応える内容がない。死の見取りりを見通した安心と安全、信頼と存在価値をケアホーム等の地域生活で実現するには、商品化したサービス、切り刻んだ福祉では難しい。また、高齢になって通常の暮らしが困難になったから、そのことをもって人生の大半を障害福祉の世界で生きてきた人たちの高齢福祉施設利用が適切だと言い切れるのだろうか。人間の本質は死の直前まで内発的発展をする存在である。その過程で介護を必要とする事態となっても、それは日常の暮らしを支える不可欠な要件にすぎない。知的障害の特性を踏まえ、第一人称の死を満足に迎える、心に寄り添う、援助と暮らしの価値を創ることが、高齢者の暮らしの在り方への支援・援助の取り組みでありたい。

 高山和彦著「知的障害者の高齢化と暮らしの在り方」《「発達白書2010」(2009年)日本文化科学社刊、p.96》

【引用終わり】
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 以上、次の課題があると指摘している。
 ? 知的障害者の高齢化は、暦年齢で判断するのは妥当でない。
 ? 高齢者に対して、多様で・個別的対策が柔軟にとれるようにする。
 ? 一生を収容施設で送る高齢者が、高齢化した人たちに適した施設環境整備の必要性。
 ? 高齢者に見合った福祉制度の確立。
 こうした議論を深め、法整備、具体策の推進を図っていく必要がある。
 育成会としても、会員家族・本人の高齢化への対応について、まだの感があることは否めない。
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