我が国におけるわかりやすさの研究

 04, 2017 05:00
 知的障害者に対する「わかりやすい」情報提供は、現状においてごく限られた状況の課題でしかない。
 支援者や家族間における情報伝達のあり方などで実践や研究がなされてきた。
 さらに、最近では公的機関における福祉サービスの説明などにおいて、「わかりやすい」パンフレットが作成されるようになってきている。
 こうしたことは、あくまで限定的であり、一般化されていないのが現状だ。
 以下の引用では、国内の現状を述べられている。

 打浪(古賀) 文子氏の論文からである。
 本論文の紹介は第10回目である。連続で紹介している。



【引用はじめ】

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jajls/17/1/17_KJ00009727988/_article/-char/ja/
社会言語科学
Vol. 17 (2014-2015) No. 1 p. 85-97
知的障害者への「わかりやすい」情報提供に関する検討 : 「ステージ」の実践と調査を中心に
打浪(古賀) 文子( 淑徳大学短期大学部こども学科 )

2. 知的障害者への 「わかりやすい」 情報提供の学術的課題

2.2 国内の現状

 日本語の「わかりやすさ」に関 しては,特に若年層へのわかりやすさへの実践及び研究 (湯浅 ,2006ほか)や,非日本話者への 「やさしい日本語」に関する実践及び研究蓄積がある( 弘前大学社会言語学研究室,2013ほか).
 しかし,「障害」分野における「わかりやすさ」に関する実践は限られている.
 1981年の国際障害者年のスローガンとして「障害者の社会参加」が謳われて以降,日本国内でも知的障害者の社会参加を目的 と した情報 ・コミュニケーション支援が検討されてきた .
 しかし,知的障害者への情報伝達は長らく,家族や支援者が担うのが通常だと考えられてきたゆえに (松矢,1997), 「わかりや すい」情報伝達は , しばしば支援者の課題として議論されてき た(越永,2000;末永,2009).
 実際 ,支援の場面において知的障害者への情報提供が 必要な場面は多く存在する.
 それらに応じて近年では ,福祉サービスの説明などに関す る各地方自治体レベルでの「わかりやすい」パンフレッ トの作成など,知的障害者が読むことを想定した情報提供が行われるようになった.
 このように,日常生活に根差した直接的な情報提供の中に ,知的障害者の主体的な自己決定に配慮した「わかりやすい」情報提 供への萌芽的な動きが少数ながらも見られるようになりつつある .

(つづき)

【引用終わり】



 「わかりやすい」情報提供の重要性が社会全般に広がるインセンティブがまだまだ乏しい。
 差別解消法で言われる「合理的配慮」が一般化することが求められる。
 それには、知的障害者とのコミュニケーションのあり方を工夫する必要がある。
 こうした機運をさまざまな場面で高めていくことだ。
 関係者が率先して必要性を説きながら、社会一般の人たちを巻き込んでいくことである。 
     
  (ケー)
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