「わかりやすい 」情報提供の海外の取組

 31, 2017 05:00
 知的障害者に対する「わかりやすい」情報提供は、英国などにおいて1930年代より始まっている。
 それを組織的に実施したのがスウェーデンである。
 1960年代後半より政府が主体となって「やさしく読める本」(LLブック)の作成が始まっている。
 知的障害者等の読書活動も推進されなければならないとする人権尊重によるものだ。

 打浪(古賀) 文子氏の論文からである。
 本論文の紹介は第6回目である。連続で紹介している。



【引用はじめ】

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jajls/17/1/17_KJ00009727988/_article/-char/ja/
社会言語科学
Vol. 17 (2014-2015) No. 1 p. 85-97
知的障害者への「わかりやすい」情報提供に関する検討 : 「ステージ」の実践と調査を中心に
打浪(古賀) 文子( 淑徳大学短期大学部こども学科 )

2. 知的障害者への 「わかりやすい」 情報提供の学術的課題

2. 1 海 外 の 動 向

  知的障害者に対しての 「わかりやすい 」情報提供は ,1930年代に英国やカナダで発行された 『障害者がやさしく読める本』 に端を発するとされる (フ ァ ル ム , 1999),
ファルム(1999) によれば ,1960年代の北欧でのノーマライゼーション思想の広がりとともに ,スウェーデンでは1960年代後半障害者団体によって , 本を読むことが難しい人々が読めて理解できる文学が必要 であることが主張され , 「LL ブッ ク」1} ( やさしく読める本 )の作成が始まったとされる .
 やがて ,知的障害者や言語的に困難を抱える人々の主張が民主主義や正義を実現する上で重要な課題であることを認めたスウェ 一デン政府の主導によって , LLブックグルー プが形成され ,知的障害者や言語的困難を抱える人々の読書活動が推進され た.
  のちにスウェーデン教育省は 1968年にLLブックの出版を始め ,1987年にLL協会02〕を設立している.
 LL協会は ,  青少年 ・大人たちに対するLLブックの編集,  官公庁の通知をやさしい文章で書 く,   広報をやさしい文章で書 き 直 し,職員にそのノ ウハウを教える,   公文書等を読むことが難しい人々のための代理朗読人の養成 ,の4事業を中心に行っ ている ( 小 林 ,201/).
また ,LL協会は毎年30冊程度のLLブックを発行するとともに , 新聞 「8SIDOR 」を毎週発行している ,「8SIDOR 」 とは8ページを意味し,紙面は全8ページで作成される.
 小学校低学年程度の読解力で読めるものを想定して作成され,内容は政治や経済の話題等と多岐にわたる.

(つづき)

【引用終わり】



 スウェーデンの取組は次のとおりである。
 1. 「LLブック」(やさしく読める本)の編集 毎年30冊発行
 2. 官公庁の通知・広報をやさしく書き直す
 3. 書き直すノウハウの普及
 4. 代理朗読人の養成
 5. 新聞 「8SIDOR 」を毎週発行
 こうしたことがLL協会という公的な組織によって、30年以上継続している。
 この継続によって、多くの人たちは「わかりやすい」情報提供がごく当たり前のものとして捉えているに違いない。
     
  (ケー)
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