本人の意思表示を正確に読み取る

 07, 2017 05:00
 以下に引用したのは、ウエルドニッヒ・ホフマン病という筋萎縮障害を有する子の事例である。
 以前にも取り上げている。
 まばたきや指の動きぐらいしか、意思を汲み取ることができない。
 院内学級の担任も、本人とのコミュニケーションに苦心している。
 この担任は、まばたきによるやりとりに力を注いでいた。
 でも、第三者からみるとどうも確実に本人の意思を汲み取っているように見えなかった。
 それよりも指の動きが確実に意思を汲み取れる。
 第三者の目も活用すべきという提案である。

 本論文の紹介は第236回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-5 伝え方が悪い

C-2 情報を構造化する

【事例】

T-4 反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 対象は,ウエルドニッヒ・ホフマン病のWさんである。
 Wさんは,病院の院内学級で学んでいる。
 1歳くらいで発病しているために,音声によるコミュニケーションをした経験はない。

 担任の先生は,とても熱心な先生であり,Wさんの顔を見ながらいろいろ声かけをしたり,目の前に具体物を見せたりして授業が行われていた。
 先生の声かけがWさんの意図を汲み取っているような問いかけでやりとりがスムーズに行われているようであったので,どこでそれを判断しているのかを尋ねたところ,まばたきでということであった。

 観察していると,そのように見えないこともなかったが,不規則にまばたきしていることもあるように思われ,それは確実に,Wさんの意思を反映しているものとは思われなかった。
 むしろ,手の指の動きなどの方が意図的に動かすことができ,そちらを意思の表出に使った方がいいのではないかと思われた。

 顔が,意思を表すのに適しているという思い込みがあると,受信する大人が勝手に不規則に動いているかもしれないまばたきに,意味付けをしてしまうことがある。
 そのような場合には,発信者側の意思と受信者側の理解にギャップが生じることがある。
 大切なことは勝手に意味付けをするのではなく,意図的に動かすことのできる部位を見つけ,その部位を使って発信する練習ができるようにしていくことである。

(つづく)

【引用終わり】



 乳児期から重度の筋萎縮症状のあるWさんとのコミュニケーションは、なかなか難しい。
 少しでも、Wさんとのコミュニケーションをスムーズにしようと関係者は努力している。
 意思表示が可能な部位とは何かを見つけ出す取り組みである。
 ここでは、まばたきより指の動きに着目した。
 WさんのQOL向上に有効だろう。
  
  (ケー)
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