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「盆栽をのけて」と言ったら盆栽の根っこから抜いてしまった

 02, 2017 05:14
 今回の事例は、知的障がいのあるVさんに対する声がけの紹介である。
 以前にも取り上げたことがある。
 本人への言語指示が適切でなかった。
 そのへんをあらためて確認しておく。
 本人が誤解しない言語指示が必要なのだ。

 本論文の紹介は第231回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-5 伝え方が悪い

C-1 情報を分かりやすくする(情報をアクセシブルにする)

【事例】

T-24 相手が理解出来る言語の選択により情報を分かりやすく伝える

 対象は,知的障害をもつVさんである。
 職場実習での出来事である。
 事業所の玄関前の掃除を指導していたとき,職業指導を担当している支援者が,Vさんに「そこの盆栽をのけて下さい」と指示した。
 支援者は,盆栽を横にずらして植木鉢の下を掃除することを指導したかったわけであるが,Vさんは,その指示を聞いて盆栽を根から抜いてしまった。

 「のけて」ということばを取り違えてしまったのである。
 支援者が,理解することが出来るような方法でVさんに指示を出すことが出来たら,このような問題は起こらなかったものと考えられる。
 例えば「植木鉢を持ち上げて下さい」などの指示をすればよかったのかもしれない。
 理解する側の言語能力が何らかの形で制限されている場合,支援する側が分かるように指示するための工夫が必要であるという例である。

(つづく)

【引用終わり】



 Vさんに対して、植木鉢の下を掃除してもらいたかった。
 そこで、支援者はVさんに「盆栽をのけて」と言った。
 それが誤解を生じた。
 盆栽の根から抜いてしまったのである。
 本人がこうした誤解しない声がけを心がける必要があった。
 盆栽に注目させてしまった。
 植木鉢に注目させるべきだった。
 「植木鉢持ち上げて、その下掃除して」と言った本人にわかりやすい言語指示である。
  
  (ケー)
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