コミュニケーションカードによって本人の意思伝達が可能になる

 25, 2017 05:00
 以下は、eくんの事例。
 知的障害を伴う自閉症の男児である。
 バスが大好きな本児。授業中も急に教室から抜け出し、スクールバスを見に出てゆく。
 担任は本児が「バスを見たい」と自ら意思表示できる手立てを工夫した。
 コミュニケーションカードを利用して、そのカードを担任に手渡したら、スクールバスのある所に行ってもいいとしたのてある。
 そうした手立ては、意外とスムーズにいった事例である。
 本事例は、以前にも取り上げたことがある。

 本論文の紹介は第223回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-4 言葉が不明瞭

A コミュニケーション(発信)を支える技法(AAC技法)

A-5 選択の技法

【事例】

T-12 カードの利用により本人の意思伝達が可能になる

 対象はeくん。
 知的障害を伴う自閉症の男児。
 知的障害の養護学校,小学部の4年生である。
 eくんは簡単な言葉の指示には従えるが,話し言葉はなく直接的な行動で意思を伝えることがほとんどだった。

 担任の教師が困っていたことの1つは,授業中に急に思い立って教室の外に出てしまうことであった。
 行き先は決まっていて,校庭の隅のバスの駐車場であった。
 eくんはバスが大好きで,何台も並んでいるスクールバスを時々見に行きたくなるのだ。

 そこで担任は,勝手にバスの所に行ってしまうのではなく,「バスを見に行きたい」ことを伝えるためのコミュニケーションカードを導入することにした。
 eくんの机の上にバスのシンボルカードを置き,eくんが離席し駐車場に走り出そうとする前に止めて,カードを手渡すことを毎回習慣づけた。
 カードを手渡しに来た場合は,基本的に駐車場に行ってもよいこととした。

 導入してからすぐにeくんはカードを使って,「バスを見に行きたい」と伝えられるようになった。
 また現在では、eくんからの要求のあった後,eくん用のシンボルで作った日課の中に「ここなら行ってもいいよ」とシンボルカードを貼ると,その時間まで待つことが出来るようになっている。

(つづく)

【引用終わり】



 eくんの実態に即したコミュニケーションカードの導入は、手立てとして有効であった。
 それが少しずつ応用範囲を広げている。
 スクールバスを見に行くばかりでなく、他の場所に行きたい時にもコミュニケーションカードの利用が広がった。
 今後、別の状況や機会にも利用が広がることが期待できる。  
 
  (ケー)
関連記事

COMMENT 0

WHAT'S NEW?