選択経験をつくることにより発信方法を教える

 24, 2017 05:02
 今回取り上げる事例は、G男くん5歳である。
 音声によるコミュニケーションができない知的障害のある幼児だ。
 トイレに行かせようとしても、寝転んで泣き出してしまう。
 保育士の機転でカードによる表出を使って、トイレに行ってからプレイルームに行きたいことがわかる。
 それがわかると、G男くんは落ち着いて行動ができた。
 本人と支援者のコミュニケーションがうまくいくことが重要である。

 本論文の紹介は第222回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-4 言葉が不明瞭

A コミュニケーション(発信)を支える技法(AAC技法)

A-5 選択の技法

【事例】

T-17 選択経験をつくることにより発信方法を教える

 対象は,5歳の知的障害をもっている男の子G男である。
 食事の後どこかへ行こうとしているG男を保育士が呼び止め,トイレに行くように伝えたが,トイレの前で寝転んで大きな声で泣きながら手足をばたばたさせている。
 保育士はトイレに行かないG男にいろいろ声かけをしているがいっこうにその様子は改善されない。
 このような状況は,本児が何かを訴えている様子であると考えられる。
 保育士は,教室からホワイトボードを持ってきた。
 そこには日頃から使っているシンボルなどが貼られている。
 G男はプレイルームの写真を手にとって,それを保育士に渡した。
 つまり,泣いていた原因は,プレイルームに行きたいということだったのである。
 保育士はそれを理解し,トイレのカードとプレイルームのカードをホワイトボードに貼り,トイレに行ってからプレイルームにと伝えたところ,G男はそれを理解して,トイレにさっと行き,その後プレイルームに向かって走っていった。

 つまり,プレイルームに行きたいのにということをG男は伝えたかったのであるが,それを伝えるための手段を持っていないために,大きな声で泣いてしまっていたということである。
 音声で伝えることに困難をもっているG男のような子どもの場合,このようなことはいろいろな場面で起こっているものと考えられる。

(つづく)

【引用終わり】



 コミュニケーションは音声だけに頼ろうとするといろんな齟齬をきたす。
 G男くんのようにカードを用いたコミュニケーションなどを積極的に導入することだ。
 本人と支援者のより良いコミュニケーションを築くことができる。
 それによって、安定的な関係を築くのだ。
 パニックなどの問題行動も起きにくくなる。  
 
  (ケー)
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