選択することとコミュニケーションすること

 20, 2017 05:17
 自分にとって欲しいものがあると、相手がいようといまいとすぐ手を出して取ってしまう。
 こうしたことは周囲からあまり受け入れられない。
 相手に何らかのコミュニケーションすることが求められる。
 言葉を発しない、サインの提示もしないとなると、周囲とトラブルになってしまう。
 相手に伝わるサイン等を身につけると、スムーズな関係を生み出す。
 そのへんの事情を以下の引用において説明している。

 本論文の紹介は第218回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-4 言葉が不明瞭

A コミュニケーション(発信)を支える技法(AAC技法)

A-5 選択の技法

•A-5-1 選択からコミュニケーション

 自己決定(選択)することとコミュニケーションすることは同じように思えるが,以下の例を見ると2つの行為は別のものであると考えられる。

 A君は,会話には不自由しないが,「何を食べたい?」と聞かれると「分からないから決めて」と答える。

 B君は,音声会話はできないが,勝手に他人のものを奪い取って食べてしまう。

 この場合,A君はコミュニケーション出来るが自己決定出来ない,B君は,自己決定出来るが,コミュニケーション出来ないと考えられる。
 つまり,自己決定(選択)とコミュニケーションは別のものであることが分かる。

 我々は日常生活の中で多くの物事について選択をし,必要に応じて相手にそれを伝えている。
 コミュニケーション行動の中には選択した結果を相手に伝える行為が多く含まれているが,B君のように直接行動で訴えると誤解を招くことが多い。
 しかし,直接訴える手段を誰にでも分かる手段に置き換えて行えれば,それがコミュニケーション手段となっていくと考えられる。
 B君が指差して要求を伝えるだけでも周りの人の態度は大きく変わると考えられる。
 B君の場合,選択肢を目の前に提示すると直接手を延ばして意思表示できるが,これでは誰もが了解できるコミュニケーション手段になりにくい。
 そこで,選択肢を彼の手の届かない所に提示してみると,指差しで我々にそれを取ってくれという要求を誘導出来るかもしれない。
 このように選択を介してコミュニケーションを生み出して行くことが可能である。

(つづく)

【引用終わり】



 自己決定(選択)とコミュニケーションは異なる。
 コミュニケーションできないため直接行動になってしまう本人はさまざまトラブルを引き起こす。
 自分がしたいことを突発的に行う。
 相手から見れば、突発的と思ってしまう。教室から抜け出す、隣の人のおもちゃを取り上げるといったことである。
 それがトラブルのもとになる。
 コミュニケーション手段がないための直接行動だ。
 サイン等によってその要求を、相手に事前に伝えることができようになっていれば、トラブルが起きることもない。
 サイン等を身につけることは、周囲との関係をより良いものにすることができるのである。 

  (ケー)
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