カードの利用により本人の意思伝達が可能になる

 18, 2017 05:01
 要求を言葉伝えられず、直接行動になってしまう事例を、以下に引用する。
 本事例は、校庭のバスを見たがり、突発的に教室から出てしまう。
 その要求をカードを使って、担任に伝えられるようにした。
 自己要求を相手に伝えた後、それを果たすといったことを実現したのである。
 少なくとも周囲の状況を考えず行動しなくなった。
 支援者等に対して、自分の要求や意思を伝えられるようになった。 

 本論文の紹介は第216回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-4 言葉が不明瞭

A コミュニケーション(発信)を支える技法(AAC技法)

A-4 シンボルコミュニケーション技法を利用する

【事例】

T-12 カードの利用により本人の意思伝達が可能になる

 対象はeくん。
 知的障害を伴う自閉症の男児。
 知的障害の養護学校,小学部の4年生である。
 eくんは簡単な言葉の指示には従えるが,話し言葉はなく直接的な行動で意思を伝えることがほとんどだった。

 担任の教師が困っていたことの1つは,授業中に急に思い立って教室の外に出てしまうことであった。
 行き先は決まっていて,校庭の隅のバスの駐車場であった。
 eくんはバスが大好きで,何台も並んでいるスクールバスを時々見に行きたくなるのだ。

 そこで担任は,勝手にバスの所に行ってしまうのではなく,「バスを見に行きたい」ことを伝えるためのコミュニケーションカードを導入することにした。
 eくんの机の上にバスのシンボルカードを置き,eくんが離席し駐車場に走り出そうとする前に止めて,カードを手渡すことを毎回習慣づけた。
 カードを手渡しに来た場合は,基本的に駐車場に行ってもよいこととした。

 導入してからすぐにeくんはカードを使って,「バスを見に行きたい」と伝えられるようになった。
 また現在では、eくんからの要求のあった後,eくん用のシンボルで作った日課の中に「ここなら行ってもいいよ」とシンボルカードを貼ると,その時間まで待つことが出来るようになっている。

(つづく)

【引用終わり】



 本人に要求度の高いものがあると、比較的コミュニケーション関係を作りやすい。
 本事例は、バスを見ることが大好きといった特性を利用して、カードによるコミュニケーションを成立させた。
 それがいろんな場面にも広げている。
 一つのきっかけを手がかりによって、コミュニケーションを広げることができたのである。     

  (ケー)
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