カードの利用により要求の仕方を教える

 17, 2017 05:00
 自閉症児の特徴の一つとして、クレーン現象というものがある。
 他人の手を取って、目的の物を取ろうとすることをクレーン現象と呼ぶ。
 クレーンが物をつりさげるのに似ているところから、そう呼ばれる。
 以下の事例のIくんもクレーンによって、要求を示すことが多かった。
 そこで、本実践はクレーンから、カードによって要求ができるようにした。

 本論文の紹介は第215回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-4 言葉が不明瞭

A コミュニケーション(発信)を支える技法(AAC技法)

A-4 シンボルコミュニケーション技法を利用する

【事例】

T-11 カードの利用により要求の仕方を教える

 対象は重度の知的障害を伴う自閉症の男児,Iくん。
 保育園に通いながら言語療法を受けている。
 ことばの理解はあまりなく,状況に伴うものがいくつか確認できるのみ。
 コミュニケーション手段もクレーンと「物わたし」だけで,頻度も決して多くなかった。

 本児への活動の予告として,写真が有効である場面が確認されていたので,発信手段としても「コミュニケーションカード」が使えないかと考えていた。
 導入として,モチベーションも高く,既にクレーンでの要求がある「おやつ(ポテトチップス)」場面を用いた。

 本児にポテトチップスの袋を見せ,見ているところで開ける。
 本児が欲しがり袋から取ろうとするところで,介助を行い部屋のすみにある机に置いた「カード」を渡すとポテトチップスがもらえることを示した。
 全面的な介助から,机の方に体を向ける,指差しでカードを示すなど,徐々に介助を減らし,自力でカードでの要求ができるように誘導した。
 本人の要求も高く,STによく注目していたので,1度の訓練の中で「カード」での要求が可能になった。

 また,カードでの要求は家庭でも取り入れられた。
 現在では,おやつとジュース,外出に関する要求がカードで可能である。

(つづく)

【引用終わり】



 この実践の導入では、最も要求度の高い物を使った。
 ポテトチップスをもらう場面を作り出して、カードによる要求ができるようにするまでの実践である。
 まず全面的な介助から始めて、徐々にその介助を減らすようにした。
 そして自発的にカードを支援者に渡すことができるようにしたのである。
 さらに、家庭内でのやり取りでもカードを使った要求行動を自発するまでになった。    

  (ケー)
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