温水プールでライフジャケットを着用したおかげでうまくいった

 20, 2017 05:05
 今回引用した事例も今まで何回か紹介している。
 本人が発する意図の読み取りによって、より良いやりとりが可能になる。
 温水プールの利用していて、着替えについては嫌がらない。
 着替えの際も、一つずつ確認しながらやっている。
 着替えをし、プールに入っても数分程度までは問題ない。
 しかし、そのあとプールの中で泣き叫ぶという。
 どうしてこうなるのか支援者も困っていた。
 理学療法士からのアドバイスでライフジャケットを着用を勧められた。
 そうしたら、プールの活動がずっと続けて行うことができた。
 ライフジャケットを着用することで、水中での姿勢が安定するようになった。
 それがUさんにはとても良かった。
 プールで不安定な姿勢にされることが嫌だったのである。

 本論文の紹介は第191回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-2 コミュニケーションのルールが出来ていない

B-6 受信者の関わりを改善する(先読みを防ぐ,反応を待つなど)

【事例】

T-6 意図を正確に読み取ることにより本人の発信意欲が増す

 対象は重度の知的障害を伴う脳性麻痺の女性21歳のUさん。
 Uさんは,座位は保持できているが,移動手段を持たない。
 言葉の理解は困難で,具体的な表出手段を持たない方である。
 重症心身障害者のデイサービスに日中通っている。

 デイサービスでは定期的に温水プールを利用している。
 また温水プールが嫌いな人のために,他の活動も用意されていた。
 言葉でのコミュニケーションが難しいUさん達には,水着を見せる,着替えをする,プールサイドまで行くなど,何段階かで利用者の方に活動を予告し,「拒否」のサインがでるようであれば,別の活動に参加してもらうようにしていた。

 Uさんは,どの段階でも「拒否」は出ない。
 しかし,毎回プールに入って10分もしないうちに,大声で泣き叫び出してしまうのだ。
 デイサービスの職員は,「Uさんは温水プールが嫌いだが,事前の予告の意味が分からずに「拒否」することが出来ないのだ」と考えていた。
 また,毎回泣き叫んでしまうので,このまま温水プールの活動を続けるかどうか悩んでいた。

 ある日温水プールに入った時のこと,たまたま居合わせた理学療法士がUさんにライフジャケットの着用を勧めた。
 もっと安定して水の中での活動が楽しめるだろうという配慮からである。
 その日Uさんは,泣き叫ぶことなど全くなくとても楽しそうだった。

 Uさんはプールの活動が嫌いなのではなく,不安定な姿勢にされる状態が嫌だったのだ。
 それ以来Uさんは毎回ライフジャケットを着用し,温水プールの活動に参加している。

(つづく)

【引用終わり】



 Uさんの嫌なことを発見することができた。
 ライフジャケットをしなかったら、温水プールの活動をやめていただろう。
 温水プールそのものをUさんは拒絶しているのだと判断していたに違いない。
 プールのなかでの不安定にさせられる姿勢が嫌ということずわからないまま。
 こうした発見は一人の支援者だけでは難しい。
 多くの専門家の視点が必要となる。
 支援者が困ったら多くの専門家に相談してみることである。        

  (ケー)
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