支援者が本人の意図を誤ってとらえて失尿させた事例

 19, 2017 05:00
 T男くんに対するやり取りの問題をまた取り上げる。
 支援者はT男くんが「トランポリン」をまた要求していると思い込んでしまった。
 それで、授業が一区切りついた後でやってもらおうとした。
 その結果、失尿させてしまった。
 T男くんの要求を読み取れなかったためである。
 T男くんは、相手に対して手を引っ張るなどの直接行動で、要求を表現する。
 それをこの支援者は、再び「トランポリン」の要求と思い込んだということである。
 本人の要求をどうやって正確に読み取ることができるか。
 本人の動きや様子をしっかり見極める必要がある。
 さらに、直接行動以外のやり取りの確立に努めることだ。 

 本論文の紹介は第190回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-2 コミュニケーションのルールが出来ていない

B-6 受信者の関わりを改善する(先読みを防ぐ,反応を待つなど)

【事例】

T-5 意図を読み違えることにより本人の発信意欲の低下を招く

 対象は小学部に在籍する知的障害と自閉症を併せもっているT男である。
 コミュニケーションするときには,手を取って引っ張っていくなど直接行動とクレーンが多かった。
 授業中,本児が後の扉から出て行こうとするので,教師は,朝行った大好きなトランポリンを思い出して,教室から出て行こうとしているのだと思い,「トランポリンは後で」と伝え,席に戻していた。
 これらのことを数回繰り返した後,T男はその場で失尿してしまった。

 教師は,T男の行動を,朝行ったトランポリンであると思い込んでいたために,T男が伝えたかった「トイレ」というメッセージを理解することが出来なかった例である。
 支援する側の思い込みが強すぎる場合,間違った意図を読み取ってしまい,本来の意図が支援者にうまく伝わらないことがあるのである。

(つづく)

【引用終わり】



 以上のようなことは、支援者にも本人にとっても大失敗である。
 こうしたことが二度とないように、支援者側による手立てが必要だ。
 直接行動に代わる手立てである。
 写真や絵カードによるやり取りとかで練習をすることから始める。
 すぐすぐ身につくものでない。
 スモールステップによるやり取りを繰り返すことで身につけるしかない。
 多くの関係者がチームを組んでこうした問題に取り組むことこそ重要である。          

  (ケー)
関連記事

COMMENT 0

WHAT'S NEW?