院内学級で学ぶWさんとのコミュニケーション

 18, 2017 05:05
 前にも引用したWさんの事例を引用する。
 支援者がWさんの発信手段を誤ってとらえている事例である。
 ウエルドニッヒ・ホフマン病を患っているため、運動機能をコントロールできないWさんとのコミュニケーションは困難を極める。
 下記の支援者はまばたきが唯一のコミュニケーションと思い込んでいる。
 しかし、第三者から見れば、どうもまばたきではうまくいっているようには見えない。
 手の指の動きのほうが確実に発信しているのだ。
 支援者の勝手な思い込みは、コミュニケーションに齟齬をもたらす。
 本人の確実な意思をとらえる手立ては何か見出すことだ。
 本人がそのやり取りで満足するかどうかが決め手となる。

 本論文の紹介は第189回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-2 コミュニケーションのルールが出来ていない

B-6 受信者の関わりを改善する(先読みを防ぐ,反応を待つなど)

【事例】

T-4 反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 対象は,ウエルドニッヒ・ホフマン病のWさんである。
 Wさんは,病院の院内学級で学んでいる。
 1歳くらいで発病しているために,音声によるコミュニケーションをした経験はない。

 担任の先生は,とても熱心な先生であり,Wさんの顔を見ながらいろいろ声かけをしたり,目の前に具体物を見せたりして授業が行われていた。
 先生の声かけがWさんの意図を汲み取っているような問いかけでやりとりがスムーズに行われているようであったので,どこでそれを判断しているのかを尋ねたところ,まばたきでということであった。

 観察していると,そのように見えないこともなかったが,不規則にまばたきしていることもあるように思われ,それは確実に,Wさんの意思を反映しているものとは思われなかった。
 むしろ,手の指の動きなどの方が意図的に動かすことができ,そちらを意思の表出に使った方がいいのではないかと思われた。

 顔が,意思を表すのに適しているという思い込みがあると,受信する大人が勝手に不規則に動いているかもしれないまばたきに,意味付けをしてしまうことがある。
 そのような場合には,発信者側の意思と受信者側の理解にギャップが生じることがある。大切なことは勝手に意味付けをするのではなく,意図的に動かすことのできる部位を見つけ,その部位を使って発信する練習ができるようにしていくことである。

(つづく)

【引用終わり】



 ウエルドニッヒ・ホフマン病は難病である。
 脊髄の運動神経細胞が異常を起こして生じる病気である。
 脊髄性筋萎縮症といわれるものだ。
 手足の筋力が低下し、自由に体を動かすことが難しくなる病気だ。
 乳児期より発症し、筋力の低下は生命の危機をもたらす。
 現状では治療方法が確立されてない。
 筋力を維持するための運動や、関節の拘縮予防のリハビリを行うことなどの対症療法が主である。          

  (ケー)
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