ライフジャケットの着用によって温水プールで安心して活動できるようになった

 14, 2017 05:00
 ここで取り上げる事例も、かつて引用している。
 同じ事例を何度も取り上げているが、こうした問題を克服するためには重要と思うからだ。
 Uさんが温水プールの活動で、安心できるようにするための対応である。
 Uさんにとって、温水プールに入ることそのものは問題なかった。
 しかし、10分以上になると、大泣きしてしまう。
 なぜこのような行動が生ずるか。
 支援者には不明なままだった。
 温水プールの活動はやめようと考えていた。
 理学療法士のアドバイスがあって、ライフジャケットの着用をしたら温水プールにもずっと入っていられるようになった。
 楽しく温水プールの活動を続けることができたのである。
 新たな手立てがUさんの活動を広げた。

 本論文の紹介は第185回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-1 介助者の思い込みが強すぎる

【事例】

T-6 意図を正確に読み取ることにより本人の発信意欲が増す

 対象は重度の知的障害を伴う脳性麻痺の女性21歳のUさん。
 Uさんは,座位は保持できているが,移動手段を持たない。
 言葉の理解は困難で,具体的な表出手段を持たない方である。
 重症心身障害者のデイサービスに日中通っている。

 デイサービスでは定期的に温水プールを利用している。
 また温水プールが嫌いな人のために,他の活動も用意されていた。
 言葉でのコミュニケーションが難しいUさん達には,水着を見せる,着替えをする,プールサイドまで行くなど,何段階かで利用者の方に活動を予告し,「拒否」のサインがでるようであれば,別の活動に参加してもらうようにしていた。

 Uさんは,どの段階でも「拒否」は出ない。
 しかし,毎回プールに入って10分もしないうちに,大声で泣き叫び出してしまうのだ。
 デイサービスの職員は,「Uさんは温水プールが嫌いだが,事前の予告の意味が分からずに「拒否」することが出来ないのだ」と考えていた。
 また,毎回泣き叫んでしまうので,このまま温水プールの活動を続けるかどうか悩んでいた。

 ある日温水プールに入った時のこと,たまたま居合わせた理学療法士がUさんにライフジャケットの着用を勧めた。
 もっと安定して水の中での活動が楽しめるだろうという配慮からである。
 その日Uさんは,泣き叫ぶことなど全くなくとても楽しそうだった。

 Uさんはプールの活動が嫌いなのではなく,不安定な姿勢にされる状態が嫌だったのだ。
 それ以来Uさんは毎回ライフジャケットを着用し,温水プールの活動に参加している。

(つづく)

【引用終わり】



 本人にとって、支援者側の工夫があれば、問題解決につながった事例である。
 支援者も専門家のアドバイスに耳を傾けることが重要ということがわかる。
 本人にとって何がいいか、何を好むか常に見極めた対応が必要だ。     

  (ケー)
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