まばたきで正確な意思表示を把握できない事例

 12, 2017 05:00
 今回の事例も以前取り上げたことがある。
 ウエルドニッヒ・ホフマン病とは、出生後まもなく筋力低下を発症する。
 乳児脊髄性筋萎縮症ともいう。
 根本的な治療法は現在確立されてない。
 以下のWさんは院内学級で学習に励んでいる。
 ただ、Wさんとのコミュニケーションにも苦労している。
 より適切なコミュニケーションのあり方について模索している。
 担任は、「まばたき」がWさんが発信する確実な意思表示と考えている。
 しかし、第三者からみると、「まばたき」は不規則でWさんの意思表示を確実に把握しているようには見えない。
 「指の動き」の方が確実に伝わると思われたというのである。
 今までさまざまな事例において、「まばたき」によるコミュニケーションが有効というのがあって、その思い込みが以下のような実践に影響したのだろう。

 本論文の紹介は第183回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-1 介助者の思い込みが強すぎる

【事例】

T-4 反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 対象は,ウエルドニッヒ・ホフマン病のWさんである。
 Wさんは,病院の院内学級で学んでいる。
 1歳くらいで発病しているために,音声によるコミュニケーションをした経験はない。

 担任の先生は,とても熱心な先生であり,Wさんの顔を見ながらいろいろ声かけをしたり,目の前に具体物を見せたりして授業が行われていた。
 先生の声かけがWさんの意図を汲み取っているような問いかけでやりとりがスムーズに行われているようであったので,どこでそれを判断しているのかを尋ねたところ,まばたきでということであった。

 観察していると,そのように見えないこともなかったが,不規則にまばたきしていることもあるように思われ,それは確実に,Wさんの意思を反映しているものとは思われなかった。
 むしろ,手の指の動きなどの方が意図的に動かすことができ,そちらを意思の表出に使った方がいいのではないかと思われた。

 顔が,意思を表すのに適しているという思い込みがあると,受信する大人が勝手に不規則に動いているかもしれないまばたきに,意味付けをしてしまうことがある。
 そのような場合には,発信者側の意思と受信者側の理解にギャップが生じることがある。
 大切なことは勝手に意味付けをするのではなく,意図的に動かすことのできる部位を見つけ,その部位を使って発信する練習ができるようにしていくことである。

(つづく)

【引用終わり】



 現在、実施していることは仮説だという認識で実践を積み重ねることだ。
 Wさんとのコミュニケーションが確実になされているか、きちっと把握できるようにしないと。
 Wさんの満足度をしっかり見極める必要がある。
 支援者も時折、第三者から確かめてもらうことも重要となる。    

  (ケー)
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