本人の発信を待って意思を確かめる

 11, 2017 05:00
 次の事例は、今回で3回目の引用になる。
 Cくんのような事例は、よく見られるのでないか。
 重度障がいのため、支援者側には全介助が必要という思い込みがある。
 そのため、障がい児の行動の先々まで見越しての支援をしてしまう。
 本人は受身のままで活動する状況が続くことになる。
 周りからも自発行動をすることが期待されない。
 本人が能動性を発揮するのはごく限られた状況に置かれてしまう。

 本論文の紹介は第182回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

6-B 誤解が生じる

6-B-1 介助者の思い込みが強すぎる

【事例】

T-3 発信の機会を作ることにより本人の意思が分かる

 対象は重度の知的障害を持つCくん,6歳の男の子である。
 日常生活動作はほぼ全介助。
 食事も自分で食べることができず,フォークやスプーンで食べ物をすくうことを手伝う必要がある。
 Cくんは自分から行動することが少なく,いつも手を引かれていて,それに抵抗することもなかった。
 そのため,周りの人はCくんが何をしたいのかよく分からなかったし,そもそもしたいことがあるのかどうかさえ明らかでなかった。

 ある時担当の保育士は,Cくんが食後に園庭側の扉の近くに立ってウロウロしている事が多いことに気づいた。
 「外で遊びたいのね?」扉を開け,手を引き,靴を履かせ,一緒に園庭に出ることを何度か繰り返した。

 「でも,本当に外に出たかったのか?」と疑問に思った保育士は,Cくんが扉の近くでウロウロしている時にすぐに園庭に連れて行くのではなく,扉を少し開けて様子を見た。
 上手に手を使えないCくんだが,扉の隙間に体を入れてなんとか外へ出ようと頑張った。
 「やはり外に出たかったのか」Cくんの具体的な行動によって,彼の意図はより明確に分かった。

 また,園庭でも手を繋いで遊具に連れていくのではなく,Cくんに動いてもらうと,ブランコの近くをウロウロすることが多いと分かった。

(つづく)

【引用終わり】



 本人も自ら要求を示している場合がある。
 それを周りがうまく掬い取れないでいる。
 全介助が必要と支援者側が思い込んでいるからである。
 本人の発信を見逃さない対応こそ求められる。
 支援者側の責任だ。
 それが支援者における責任である。   

  (ケー)
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