残り時間を見える化する

 01, 2017 05:00
 以下に引用した事例は、3度目である。
 繰り返し取り上げている。
 残り時間を理解する方策には、QHW(クウォーター・アワー・ウォッチ)というタイムエイドの活用が有効である。
 残り時間が砂時計のように視覚的に把握できる。
 時間把握が捉えにくい障がい者には、とても便利なツールだ。
 何度も取り上げてくどいが、ぜひ試してもらいたい。
 いかに障がい者に合った対応が重要かを示すためでもある。

 本論文の紹介は第172回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

6 コミュニケーションが広がらない

【事例】

T-31 タイムエイドの利用により本人が残り時間を理解する

 対象生徒は,自閉症と診断されている知的障害養護学校の高等部に在籍しているP男である(指導実施時)。
 パン粉を作る工場で実習をすることになったP男であるが,実習が始まってまもなく実習中に頻繁に休憩室を見に行くようになった。
 職場の人や実習担当者に繰り返し何度も注意されてもその行動はおさまらず,毎日の実習の反省の中でも,この行動をどのようにすれば改善することが出来るのかということが話題になった。
 実習時の記録からは,給食弁当が配達され,トレイが机の上に置かれたことを確認すると,今まで以上のスピードで仕事をするということが分かってきた。
 弁当が配達されたことを確認することで,午前中の作業がもうすぐ終わるということを理解していたのである。
 P男は時計の数字を読むことは出来るが,そこから時間を量として読み取ることが出来ない。
 その結果,午前中の仕事がどのくらいあるのかが理解出来ないために,弁当の配達を目安にして,作業をしていたということである。

 そこで,タイムエイドを使って,時間を構造化し,いつまで仕事をするのかを知らせていく取り組みを実施することにした。
 P男は,デジタル時計の数字は読めるが時間としての理解は出来ないことや,アナログの時計を使っても,残りの時間を理解することが出来ないという実態から,QHWというタイムエイドを活用することにした。
 残り時間が少なくなっていくというのが目で見て分かりやすいので,P男に時間を量として分かりやすく伝えられると考えたからである。
 ウエストポーチの中にQHWを入れ,昼食のシンボルをQHWのチップに貼り付け,それを確認しながら作業をするように指導した。
 その結果,必要に応じてQHWで●を確認し,落ち着いて作業出来るようになり,仕事中に休憩室まで弁当の確認に行くことはなくなった。

(つづく)

【引用終わり】



 障がいのある人が安心して活動できるようにしてやることである。
 それには、周囲の人たちも認めてくれることも重要なのだ。
 互いの関係が安定する必要がある。
 その補助具がここで取り上げた補助具もその一つとなる。  
    
  (ケー)
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