コミュニケーションシートの提供により本人の意思伝達が可能になる

 10, 2017 05:00
 以下はaくんに関する事例である。
 自ら発する語が少なく、会話が成り立たないaくんに対する文字によるコミュニケーションシートを使った実践である。
 文字を読めても、発語できない。
 音声語がコミュケーションの機能を果たすことができていない。
 そうした実情にあるaくんの支援である。
 文字という視覚言語を手がかりにして、より良いコミュケーションを図った事例である。
 
 本論文の紹介は第150回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

5 勝手に行動する(自己管理出来ない)

5-3 尋ねたり援助を求めることが出来ないので直接行動で訴える

A-2 代替手段(ローテク・コミュニケーションエイド)を利用する

【事例】

T-8 コミュニケーションシートの提供により本人の意思伝達が可能になる

 対象はaくん。
 6歳,自閉症の男児。
 知的障害のある子どもの通園施設に通っている。
 知的な障害を伴うが,比較的理解もよく,ひらがな,カタカナ,一部の漢字を読むことが出来た。
 攻略本を読みながら,テレビゲームをするなど周りを驚かせるような力をもっていた。
 3語文以上の話し言葉があったが,自分から話しかけることはなく,会話は成立しにくかった。

 aくんは,自発的に考えて動くことが得意でなく,日常いつもやっている行動でさえ指示がなければ動けないことが多かった。
 また,自分が思っていることを言葉で表現することもとても苦手だった。

 普段は大人しいaくんであったが,時々パニックのように大泣きすることがあった。
 多くは,自分の思いが上手く伝わらなかった時だと,後から分かった。
 食事場面もそのようなパニックが起こりやすい場面だった。
 あまり好きではない食べ物を保育士から勧められ,上手く断れなかった時などによく起きていた。
 文字が読めるaくんに図A-2-aのようなコミュニケーションシートを作成し,食事中に使うと便利な言葉を示した。
 導入当初は,戸惑いもあり何度か場面毎に使用方法を教える必要があったが,現在では的確に使用出来るようになり,食事場面は自律的で楽しいものになった。

 いただきます     はんぶんにして
 ごはん         すこしにして
 おかず         のこします
 おかわりください   いりません
 おちゃください    てつだってください
 たくさんください   ごちそうさまでした      図A-2-a 給食の時に使うコミュニケーションシート

 文字の読めるaくんには、給食で必要なことばを文字で書かれたコミュニケーションシートとして用意した。
 上手くことばが使えない時は、保育士が本児の気持ちを察しながら、ことばを促した。

(つづく)

【引用終わり】



 食事といった毎日繰り返す場面で、aくんが安定してやりとりできるように工夫した。
 それが文字で書かれたコミュニケーションシートである。
 それをaくんの要求にそって使用することで、落ち着いてやりとりできるようなった。
 このことから、いかに個に即した支援が大事かがわかる。 
  
  (ケー)
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