まばたきだけでは意思表示の判断難しい

 26, 2016 05:00
 以下に引用したWさんは、以前にも取り上げた事例である。
 ウェルドニッヒ・ホフマン病という障がいのある子どもである。
 筋肉を動かす神経に障がいがおこる病気で、呼吸筋まひによって呼吸不全となり死亡するケースが多い。
 知能の低下はない。
 こうした病気の子とのコミュニケーションをいかにとるかが、この事例の課題である。
 院内学級の担任は、まばたきによる意思表示によって判断していた。
 しかし、第三者から見ると、まばたきが確実に意思表示を反映しているようには見えなかった。
 それよりも、指の動きの方が確実な意思表示のようだった。
  
 本論文の紹介は第135回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-7 指示の仕方が悪い

【事例】

T-4 反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 対象は,ウエルドニッヒ・ホフマン病のWさんである。
 Wさんは,病院の院内学級で学んでいる。
 1歳くらいで発病しているために,音声によるコミュニケーションをした経験はない。

 担任の先生は,とても熱心な先生であり,Wさんの顔を見ながらいろいろ声かけをしたり,目の前に具体物を見せたりして授業が行われていた。
 先生の声かけがWさんの意図を汲み取っているような問いかけでやりとりがスムーズに行われているようであったので,どこでそれを判断しているのかを尋ねたところ,まばたきでということであった。

 観察していると,そのように見えないこともなかったが,不規則にまばたきしていることもあるように思われ,それは確実に,Wさんの意思を反映しているものとは思われなかった。
 むしろ,手の指の動きなどの方が意図的に動かすことができ,そちらを意思の表出に使った方がいいのではないかと思われた。

 顔が,意思を表すのに適しているという思い込みがあると,受信する大人が勝手に不規則に動いているかもしれないまばたきに,意味付けをしてしまうことがある。
 そのような場合には,発信者側の意思と受信者側の理解にギャップが生じることがある。
 大切なことは勝手に意味付けをするのではなく,意図的に動かすことのできる部位を見つけ,その部位を使って発信する練習ができるようにしていくことである。

(つづく)

【引用終わり】



 支援者側が思い込みで相手の意図を解釈してしまうことは、往々にしてある。
 そこは相手の状況をしっかり把握して対応する必要がする。
 支援者による一人だけの視点でなく、関係者の多角的な視点からアドバイス得ることが大事である。
  
  (ケー)
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