発信しやすい状況をつくる

 25, 2016 05:00
 下記に引用した事例は、3回目になる。
 繰り返しとはいえ、重要な事例である。
 発信行動が極めて弱いCくんの自発行動に対し、いかにアプローチしたか。
 保育士の観察眼がCくんの要求に的確にこたえることになった。
  
 本論文の紹介は第134回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-7 指示の仕方が悪い

【事例】

T-3 発信の機会を作ることにより本人の意思が分かる

 対象は重度の知的障害を持つCくん,6歳の男の子である。
 日常生活動作はほぼ全介助。
 食事も自分で食べることができず,フォークやスプーンで食べ物をすくうことを手伝う必要がある。
 Cくんは自分から行動することが少なく,いつも手を引かれていて,それに抵抗することもなかった。
 そのため,周りの人はCくんが何をしたいのかよく分からなかったし,そもそもしたいことがあるのかどうかさえ明らかでなかった。

 ある時担当の保育士は,Cくんが食後に園庭側の扉の近くに立ってウロウロしている事が多いことに気づいた。
 「外で遊びたいのね?」扉を開け,手を引き,靴を履かせ,一緒に園庭に出ることを何度か繰り返した。

 「でも,本当に外に出たかったのか?」と疑問に思った保育士は,Cくんが扉の近くでウロウロしている時にすぐに園庭に連れて行くのではなく,扉を少し開けて様子を見た。
 上手に手を使えないCくんだが,扉の隙間に体を入れてなんとか外へ出ようと頑張った。
 「やはり外に出たかったのか」Cくんの具体的な行動によって,彼の意図はより明確に分かった。

 また,園庭でも手を繋いで遊具に連れていくのではなく,Cくんに動いてもらうと,ブランコの近くをウロウロすることが多いと分かった。

(つづく)

【引用終わり】



 はたから見たら、Cくんの動きはささやかと思うだろう。
 しかし、Cくんにしても、担当の保育士にしても、画期的なコミュケーションと言っていい。
 今までは、ほとんど受動的な行動だけと思われていたCくんなのだから。
 それが園庭で遊ぶことを自ら要求する行動を見出したのだから。
 これが突破口になって、コミュニケーション行動の拡大につながりそうである。
  
  (ケー)
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