実物の利用により本人が指示を理解する

 20, 2016 05:00
 以下に引用した事例もかつて取り上げている。
 Kさんという知的障がいを伴う自閉性障がいのある人だ。
 下駄箱の前に立ち止まったままで、作業場になかなか入らない。
 作業場にスムーズに入ることができる手立てを工夫した事例である。
 音声だけの指示では理解できない。
 作業内容が理解できるよう作業をしている実物を持たせてみた。
 そうしたら、作業場への移動がうまくできたのである。
 
 本論文の紹介は第129回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-7 指示の仕方が悪い

【事例】

T-23 実物の利用により本人が指示を理解する

 対象は知的障害と自閉性障害をもつKさんである。Kさんは,作業場に入っても,下駄箱のところから動くことが出来ず,そこに立ったままじっとしていることが多かった。
 支援者が,一緒に席につくように促しても,動かないことがあった。

 このような場合,考えられるのは,何を期待されているのかがうまく伝わっていないということである。
 Kさんは,作業場で作業をすることが期待されているのであるが,それが理解出来ていないのである。

 このような場合,まず,その場所から作業の場所へ移動してもらうことから考えなくてはならない。
 音声でうまく伝えることが出来ないのであれば,
 (1) 作業の内容を見せて移動を促す。
 (2) 作業内容を持ってもらって移動を促す。
 (3) 作業内容の一部を持ってもらって移動を促すなどの方法が考えられる。
 Kさんの場合,型をあわせるという作業であったので,一方の型をKさんに持ってもらい,合わせるべきもう一方の型を作業する場所に置いておくことで,何を期待されているのかを理解することが出来,作業すべき自分の場所に移動することが出来た。

 音声以外の別の手段で指示する方法を使ってみることで,うまく伝えることが出来た例である。

(つづく)

【引用終わり】



 本事例は、活動が緩慢で自発性に欠ける。
 下駄箱で靴を脱いで、次への活動がスムーズにいかない。
 次の活動を促すために、作業内容の一部を持たせた。型はめ用の一部の部品である。
 それが次への移動を促すきっかけになった。
 次の活動につながるきっかけを見出すことができた。
 こうした一連のつながりができていけば、活動もスムーズになっていくだろう。
  
  (ケー)
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