同時に見せることにより本人が選択肢を理解する

 18, 2016 05:00
 今回の事例もこのシリーズでかつて取り上げたことがある。
 5歳のFちゃんだ。
 知的障がいとアテトーゼ型脳性まひの幼児。
 理解言語は多少あるが、発語がない。
Yes/Noの明確な発信行動も形成するのが難しい。
 時系列による提示では、最後の提示したものに反応してしまう。
 自らの要求にしたがった行動とはいえない。
 本児の要求選択がうまくできる工夫が、以下の実践である。
 
 本論文の紹介は第127回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-7 指示の仕方が悪い

【事例】

T-21 同時に見せることにより本人が選択肢を理解する

 対象は知的障害を伴う脳性まひ(アテトーゼタイプ)の女の子,5歳のFちゃんである。
 運動障害は重く自分で座ることは出来ないが,寝返りで段差のない場所なら自由に移動が出来る。
 話し言葉は全くないが,簡単な言葉の理解は可能である(日常事物の描かれた絵カードを視線で選ぶことが出来る)。

 Fちゃんはまだ,Yes/Noで答えることが難しい。
 幾つか簡単なジェスチャーが可能だったので,「はいの時は手を挙げて!いいえの時は腕をくんで!」と練習していたが,いつも最後に言ったジェスチャーをしてしまって,Yes/Noで答えることにはならなかった。

 次に遊ぶものや食べたいお菓子を選ぶ時も同じ傾向があった。
 幾つかの選択肢を順番に提示していくと,決まって最後に出した物を選んでしまう。
 選んでいるというより,最後に出したものに反応してしまうといった感じである。

 そこでFちゃんに選んでもらう時は,選択肢を一度に見せるようにした。
 ただし,選択肢は1度に目に入るように3つ以内の実物か絵カードにした。
 こうすることで,Fちゃんの好みにそった選択が可能になった。

(つづく)

【引用終わり】



 以上の実践では、自分の好みを選べるように実物や絵カードを同時提示するようにした。
 それも本児の見える範囲で行った。
 それによって、2つから選ぶ、3つから選ぶなど行ったわけだ。
 本児の好みを選ぶようになった。
 但し、本当に好みのものを選んでいるかどうか吟味する必要がある。
 それは、自分にとって取りやすいものをとっている可能性があるからだ。
 だから、選択する物の位置を変えるとかする必要もある。
 そのような何度か繰り返すことも大事だ。
  
  (ケー)
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