適切な提示により本人が選択肢を理解する

 17, 2016 05:00
 下記の事例は以前にも取り上げている。
 自閉症児Xさんに対するコミュニケーション行動の工夫である。
 選択肢を二つ与えられると、後半部に反応してしまう。
 結局は、反響言語になっている。
 こうした事例はよく見かける。
 本人の要求が相手に伝わるようにした実践が、以下のとおりである。
 シンボルを同時に提示して、選択できる場面を作っている。
 
 本論文の紹介は第126回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-7 指示の仕方が悪い

【事例】

T-20 適切な提示により本人が選択肢を理解する

 対象は養護学校の小学部2年生の自閉症をもつXさんである。
 Xさんは,音声で伝えられたことを理解して行動することは出来なかった。
 例えば,選択をする際に音声で「牛乳にする。お茶にする」というと「お茶にする」と答え,「お茶にする。牛乳にする」と問うと「牛乳にする」と答えるのである。
 つまり,後のほうのことばを反響言語で応えるのである。

 最初は,音声で理解することが出来ていると思っていた担任の先生は,音声で選択する機会をもつようにしていたのであるが,上記のように反響言語であることに気がつき,選択の方法を変えた。
 ホワイトボードにラミネートされた磁石をつけたシンボルを貼り,それを使って選択することが出来るようにしたのである。
 2種類からはじめ,現在では10種類くらいある中から自分がしたいことを選んで持ってくることが出来るようになっている。
 選択肢を提示する際に,その人に理解することが出来るような形で提示する必要があるという例である。

(つづく)

【引用終わり】



 上記の実践によって、始めは二者選択からだんだん増やして、10種類の中から自分の要求が選択できるようになった。
 すばらしい実践といっていい。
 Xさんのレベルはこうした実践が功を奏した。
 但し、他の事例によっては選択行動そのものの支援が必要な場合もある。
 シンボルを手渡せる行動ができるようにすることだ。
 結局、シンボルと実物のマッチングができるところから始めなければならない子もいる。
 「牛乳」のシンボルを提示して、「ぎゅうにゅうちょうだい」の指示で、手渡しできることが必要だ。
 子どもの実態に即した対応によって、より良いコミュケーション行動を形成できる。
  
  (ケー)
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