反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 12, 2016 05:29
 以下に引用した事例は、かつて取り上げたことがある。
 筋力の低下を伴う遺伝病の症状がある児童とのコミュニケーションのあり方である。
 ウエルドニッヒ・ホフマン病は筋力の低下があっても、知能の低下は見られない。
 音声によるコミュニケーションができない。
 そのため、本事例ではまばたきを使ってコミュニケーションを図ろうとしている。
 しかし、それはうまくいってないようだ。
 もっと確実な手立てがないものかを探った事例である。
  
 本論文の紹介は第121回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-6 指示は理解出来ているが従いたくない

【事例】

T-4 反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 対象は,ウエルドニッヒ・ホフマン病のWさんである。
 Wさんは,病院の院内学級で学んでいる。
 1歳くらいで発病しているために,音声によるコミュニケーションをした経験はない。

 担任の先生は,とても熱心な先生であり,Wさんの顔を見ながらいろいろ声かけをしたり,目の前に具体物を見せたりして授業が行われていた。
 先生の声かけがWさんの意図を汲み取っているような問いかけでやりとりがスムーズに行われているようであったので,どこでそれを判断しているのかを尋ねたところ,まばたきでということであった。

 観察していると,そのように見えないこともなかったが,不規則にまばたきしていることもあるように思われ,それは確実に,Wさんの意思を反映しているものとは思われなかった。
 むしろ,手の指の動きなどの方が意図的に動かすことができ,そちらを意思の表出に使った方がいいのではないかと思われた。

 顔が,意思を表すのに適しているという思い込みがあると,受信する大人が勝手に不規則に動いているかもしれないまばたきに,意味付けをしてしまうことがある。
 そのような場合には,発信者側の意思と受信者側の理解にギャップが生じることがある。
 大切なことは勝手に意味付けをするのではなく,意図的に動かすことのできる部位を見つけ,その部位を使って発信する練習ができるようにしていくことである。

(つづく)

【引用終わり】



 本児の意図に沿った動きが確実な部位を見つけることが重要である。
 まばたきでは本児の意図が支援者にうまく伝わっていない。
 それより、手の動きに着目した方がいいとの判断である。
 第三者の客観的な視点といったことも大事だということがわかる。
  
  (ケー)
関連記事

COMMENT 0

WHAT'S NEW?