モデルを示すことにより本人が指示を理解する

 01, 2016 05:00
 相手に見本を示すことは大事だ。
 特に、言葉の理解が難しい障がいのある子にとっては見本を提示してみるといい。
 以下の事例はコンピューターで使うマウスの操作の支援である。
 モデルとなる見本を提示することで、操作方法を学んでいる様子がわかる。

 本論文の紹介は第110回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-4 指示が理解出来ない

【事例】

T-29 モデルを示すことにより本人が指示を理解する

対象は知的障害を伴う自閉症の6歳の女の子Lちゃん。
 話し言葉は全くないが,3語文程度の言葉が分かり,ひらがな,カタカナの理解がある。
 日常のコミュニケーション手段はクレーン,「もの渡し」と簡単なジェスチャー(バイバイ,いただきます)だけだ。
 話し言葉だけで伝えると勘違いすることが多いので,週に一度の言語療法でのその日のスケジュールは書いて伝えるようにしている。

 Lちゃんは理解出来ていることのわりには「遊び」といえるものが少ない。
 好きな絵やビデオを見る程度だ。
 言語療法ではコミュニケーションに関する内容に加えて,STが彼女の楽しめるものをお母さんと一緒に考えるようにしている。

 マウスと画面の関係はなんとなく分かってそうなのだが,マウスを持たせても全く動かそうとしない。
 手を沿えて動かすと,画面は見るけれど自分で手に力を入れない。
 しかし興味がないわけでもなさそうだ。
 彼女ならマウスが使えそうなので,何回か手を沿えながら練習を続けてみた。

 ある日,いつものように「こうやって!」と彼女にマウス操作のジェスチャーをしてみせた。
 「こう??」と彼女もSTがしたように手を動かす(マウスを持たない手を)。
 「何かしろ!」と言われていることは分かっている。
 そしてそれに応えたいとも思っている。
 しかし上手く伝わらない。

 しばらく考えて,もう1つ「コンピュータにつながっていないマウス」を取り出した。そして,「こうしてみて!」とマウスを動かし,具体的な見本を示した。すると彼女もマウスの方を動かしたのだ。

 まだ,思うようにマウスの操作ができるわけではないが,少しずつLちゃんは操作を覚えている。

(つづく)

【引用終わり】



 Lちゃんがモデルとなるマウスの操作をみて、同じような操作をするようになっている。
 これを繰り返していけば、一人でマウスによるお絵かきもできるようになるだろう。
 Lちゃんの活動範囲も広がる。
 Lちゃんの興味関心の拡大を図ることになる。
 実際の活動について、モデルを提示してみることは重要だということがわかる。
  
  (ケー)
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