実物の利用により本人が指示を理解する

 27, 2016 05:00
 以下の事例は、音声言語による指示だけでは、作業場所まで移動ができない障がい者への支援である。
 作業場の下駄箱から動くことができない。
 自ら移動しようとしない。
 作業場所で何をするか理解できていない。
 それをいかにして、移動することができるようになったかを明らかにしたものである。

 本論文の紹介は第107回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-4 指示が理解出来ない

【事例】

T-23 実物の利用により本人が指示を理解する

 対象は知的障害と自閉性障害をもつKさんである。
 Kさんは,作業場に入っても,下駄箱のところから動くことが出来ず,そこに立ったままじっとしていることが多かった。
 支援者が,一緒に席につくように促しても,動かないことがあった。

 このような場合,考えられるのは,何を期待されているのかがうまく伝わっていないということである。
 Kさんは,作業場で作業をすることが期待されているのであるが,それが理解出来ていないのである。

 このような場合,まず,その場所から作業の場所へ移動してもらうことから考えなくてはならない。
 音声でうまく伝えることが出来ないのであれば,
 (1) 作業の内容を見せて移動を促す。
 (2) 作業内容を持ってもらって移動を促す。
 (3) 作業内容の一部を持ってもらって移動を促すなどの方法が考えられる。
 Kさんの場合,型をあわせるという作業であったので,一方の型をKさんに持ってもらい,合わせるべきもう一方の型を作業する場所に置いておくことで,何を期待されているのかを理解することが出来,作業すべき自分の場所に移動することが出来た。

 音声以外の別の手段で指示する方法を使ってみることで,うまく伝えることが出来た例である。

(つづく)

【引用終わり】



 上記では、作業で使ってきた型はめの一部を持たせ、作業内容を理解できるようにした。
 具体物を持たせることによって、作業場でやることの見通しをはっきりさせることができた。
 Kさんには、この支援は有効だった。
 個に即した試みによって、行動変容を促すことができたのである。
  
  (ケー)
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