同時に見せることにより本人が選択肢を理解する

 25, 2016 05:00
 以下は、重複障がいのある子に対する意思決定支援の事例である。
 Yes/Noのジェスチャーが習得するのが困難な状況にある。
 単なる模倣になってしまう。
 好みを選択することができてない。
 同時に選択肢を提示することで、好みのものを選択するようになった事例である。
  
 本論文の紹介は第105回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-4 指示が理解出来ない

【事例】

T-21 同時に見せることにより本人が選択肢を理解する

 対象は知的障害を伴う脳性まひ(アテトーゼタイプ)の女の子,5歳のFちゃんである。
 運動障害は重く自分で座ることは出来ないが,寝返りで段差のない場所なら自由に移動が出来る。
 話し言葉は全くないが,簡単な言葉の理解は可能である(日常事物の描かれた絵カードを視線で選ぶことが出来る)。

 Fちゃんはまだ,Yes/Noで答えることが難しい。
 幾つか簡単なジェスチャーが可能だったので,「はいの時は手を挙げて!いいえの時は腕をくんで!」と練習していたが,いつも最後に言ったジェスチャーをしてしまって,Yes/Noで答えることにはならなかった。

 次に遊ぶものや食べたいお菓子を選ぶ時も同じ傾向があった。
 幾つかの選択肢を順番に提示していくと,決まって最後に出した物を選んでしまう。
 選んでいるというより,最後に出したものに反応してしまうといった感じである。

 そこでFちゃんに選んでもらう時は,選択肢を一度に見せるようにした。
 ただし,選択肢は1度に目に入るように3つ以内の実物か絵カードにした。
 こうすることで,Fちゃんの好みにそった選択が可能になった。

(つづく)

【引用終わり】



 上記の事例でも、障がいの実態に即した手立てをとっている。
 時系列で提示しても、最後のものしか反応しない。
 そこで、同時に提示して選択できるようにした。
 それも、本児の見える範囲の3つ以内の選択肢に限った。
 それによって、本児が好みのものを選択できるようにしたのである。
 ただ、選択したものが本児にとって本当に好みのものだったかをどう判断したのだろう。
 それを選択して、喜ぶ様子が見られたかどうかで判断したに違いない。
  
  (ケー)
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