適切に環境を整備することにより本人の課題遂行力を引き出す

 17, 2016 05:00
 自閉症児の家庭学習がうまくいかない。
 課題に対する注意を向けることが難しい。
 そうした実情にどう対応したか。
 その実例が以下のとおりである。
 
 本論文の紹介は第97回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-3 注意が向いていない

【事例】

T-15 適切に環境を整備することにより本人が情報を理解出来るようになる

 対象児は,知的障害をもつ自閉症児で小学校の特別支援学級に在籍する小学校3年生のI男である。
 コミュニケーションはダイナモとコミュニケーション用のカードを活用していた。
 家庭での個別学習では,課題を実施するときにも,落ち着きがなくうろうろすることが多かった。
 課題を無理やりさせようとすると,パニックになることがあった。
 課題を実行するだけの力はもっていると考えられることから,何を期待されているのかが分からないことが課題に集中出来ない原因であると考えられた。
 そこで,今からすべき課題を明確にするために,机を部屋の門に置くようにし,気が散るようなことがないように正面と右側を壁にし,左側に課題を置くための三段ボックスを置いた。
 また,左側には終わった後の課題を片付ける箱も用意した。

 今からすべき課題は三段ボックスの中に上から順番に置いてあり,それらを順番にすることで課題がなくなっていくことが分かるようにした。
 また,課題も始まりと終わりが分かりやすいものにした。
 すべきことが分かり課題に集中出来るようになると,そのとき見られたパニックは見られなくなり,落ち着いて最後まで課題に取り組むことが出来るようになった。
 期待されていることが理解出来るように環境を整えることでうまくいった例である。

(つづく)

【引用終わり】



 以上は、やるべき課題はどのようなものかを段階的に見える化した。
 注意が集中できやすい環境設定を行った。
 壁際に机を設置。
 課題を置く箱も用意。
 課題が終了した時に片づける箱も用意。
 課題を実施する順番がわかるように、三段ボックスから順番にとることができるようにした。
 課題を始めて、終わるまでのプロセスが明確にしたわけだ。
 本児はこうした課題設定を理解することができて、次々と課題をこなすようになった。
 本児の潜在力を引き出すことができた事例である。
  
  (ケー)
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