見えていないようだ

 12, 2016 05:00
 以下の事例は、写真などを使ってスムーズなコミュニケーションができるように試みている。
 しかし、こまかいところが見えてないようだ。
 指導員が言語聴覚士に相談した。
 言語聴覚士も「見え」の問題があるということで、眼科受診をすすめた。
 その結果、視力は0.01と明らかになった。
 それを受けて視力矯正を行っている。
 
 本論文の紹介は第92回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

4 指示が通らない(コミュニケーション出来ない)

4-2 見えていない

【事例】

T-27 視力検査により問題原因の本質に気づく

 「Hさんに写真で作ったスケジュール表を使っているのだが,役に立っていないようなので見て欲しい。」
 作業所の指導員が言語聴覚士(ST)に相談をした。

 Hさんは知的障害のある28歳の男性。非常に明るい感じの方で,初対面のSTにも愛想よく話しかけた。
 しかし,発音がとても不明瞭で何を喋っているのかはほとんど分からない。
 Yes-Noでは,ある程度コミュニケーションはできるのだが…。

 STはシンボルなどの代用手段も考えてみようかと思い,Hさんの作業場面を見せてもらった後,細かい能力の把握をするために言語検査をかけてみることにした。

1.絵カードを見て物の名前を言ってもらう。大変不明瞭で一部の音しか出ていない。
2.日常事物が描かれた絵カードを言葉でとってもらう。時々ミスするもののおおむね良好。
3.動作のカードを見てもらって,何をしているのか言ってもらう。発音できないものはHさんなりのジェスチャーで表現してくれた。
4.その動作の絵カードを並べて,言葉でとってもらう。全然とれない。ひどく見当違いのカードを選ぶ。
ST:「洗う。下さい。」

Hさん:手を洗うジェスチャーをしながら「食べる」カードを取る。

ST:????「食べる」カードをHさんに見せる。

Hさん:「あべうや(食べるや)」。カードを目の前10センチぐらいに近づけている。

こんなやり取りを何度か繰り返した。

 STは,「Hさん目が悪いと思うんだけど?動作のような細かい絵はほとんど見えてないし…。それでスケジュールも見落としているのではないかな??」と指導員に伝えた。
 指導員からも思い当たるエピソードが幾つか出た。
 とにかく眼科を受診することになった。

 円錐角膜(えんすいかくまく)で視力は0.01ぐらいだろうとのことだった。
 現在,視力矯正のため通院中である。

(つづく)

【引用終わり】



 以上のように、視力矯正によってどこまで見えるようになるか。
 それによって、今後の支援内容を決めることになる。
 「見えにくい」Hさんに、それに配慮した接し方が求められる。
  
  (ケー)
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