反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 05, 2016 05:02
 ウエルドニッヒ・ホフマン病(乳児脊髄性筋萎縮症)のWさんと、どのようなやりとりができるか。
 以下の事例において取り上げている。
 この病気は乳児期に罹患する。
 全身の筋力が著しく低下する。
 一部の表情筋を動かすことができるのみである。
 呼吸筋も侵されるので、人口呼吸器が必要になったりする。
 ほとんどが生後数か月から数年以内に亡くなるケースが多い。
 ただ、本事例は院内学級で学習できる状況である。
 それにしても、動かすことのできる部位は限られている。
 まばたきや手などのわずかな部位しか動かすことができない。
 そうした子とのやりとりを確実にする支援のあり方について述べたものである。
 
 本論文の紹介は第85回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

3 コミュニケーション出来るが自分で決められない(自己決定出来ない)

3-5 選択したくない

T-4 反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 対象は,ウエルドニッヒ・ホフマン病のWさんである。
 Wさんは,病院の院内学級で学んでいる。
 1歳くらいで発病しているために,音声によるコミュニケーションをした経験はない。

 担任の先生は,とても熱心な先生であり,Wさんの顔を見ながらいろいろ声かけをしたり,目の前に具体物を見せたりして授業が行われていた。
 先生の声かけがWさんの意図を汲み取っているような問いかけでやりとりがスムーズに行われているようであったので,どこでそれを判断しているのかを尋ねたところ,まばたきでということであった。

 観察していると,そのように見えないこともなかったが,不規則にまばたきしていることもあるように思われ,それは確実に,Wさんの意思を反映しているものとは思われなかった。
 むしろ,手の指の動きなどの方が意図的に動かすことができ,そちらを意思の表出に使った方がいいのではないかと思われた。

 顔が,意思を表すのに適しているという思い込みがあると,受信する大人が勝手に不規則に動いているかもしれないまばたきに,意味付けをしてしまうことがある。
 そのような場合には,発信者側の意思と受信者側の理解にギャップが生じることがある。
 大切なことは勝手に意味付けをするのではなく,意図的に動かすことのできる部位を見つけ,その部位を使って発信する練習ができるようにしていくことである。

(つづく)

【引用終わり】



 支援者として、どのような対応を選択するのがいいか。
 本児が適切に反応できる動きを見出すことである。
 支援者の思い込みを優先することのないようにしなければならない。
 今やっていることが正しいのか、誤っていることがないか、時おり確かめることが必要だ。
 そのためには、第三者の目も必要となる。
 
  (ケー)
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