同時に見せることにより本人が選択肢を理解する

 24, 2016 05:00
障がいの実態に応じて、本人が好む選択をできるようにしたい。
 以下の事例は、知的障がいと運動障がいが重複する子に対する支援の試みである。
 選ぶといっても、最後に提示したものを選んでしまう。
 本人が好んでいるものを選ぶことができない。
 こうした問題を解決した試みである。
  
 本論文の紹介は第73回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

3 コミュニケーション出来るが自分で決められない(自己決定出来ない)

3-3 選択肢を理解できない

 知っているものでもその情報の形が違うと分からないことがある。
 例えば牛乳パックを見て理解できても,「ぎゅうにゅう」と言われると理解できない人がいる。
 また,個々の選択肢を知っていたとしても,それについて情報があまりに多いとどうしていいか分からなくなることがある。

C-1 情報を分かりやすくする(情報をアクセシブルにする)

【事例】

T-21 同時に見せることにより本人が選択肢を理解する

 対象は知的障害を伴う脳性まひ(アテトーゼタイプ)の女の子,5歳のFちゃんである。
 運動障害は重く自分で座ることは出来ないが,寝返りで段差のない場所なら自由に移動が出来る。
 話し言葉は全くないが,簡単な言葉の理解は可能である(日常事物の描かれた絵カードを視線で選ぶことが出来る)。

 Fちゃんはまだ,Yes/Noで答えることが難しい。
 幾つか簡単なジェスチャーが可能だったので,「はいの時は手を挙げて!いいえの時は腕をくんで!」と練習していたが,いつも最後に言ったジェスチャーをしてしまって,Yes/Noで答えることにはならなかった。

 次に遊ぶものや食べたいお菓子を選ぶ時も同じ傾向があった。
 幾つかの選択肢を順番に提示していくと,決まって最後に出した物を選んでしまう。
 選んでいるというより,最後に出したものに反応してしまうといった感じである。

 そこでFちゃんに選んでもらう時は,選択肢を一度に見せるようにした。
 ただし,選択肢は1度に目に入るように3つ以内の実物か絵カードにした。
 こうすることで,Fちゃんの好みにそった選択が可能になった。

(つづく)

【引用終わり】



 本児の実態は次のとおり。
 音声による発語ない。日常的な事物の絵カードを視線で選ぶことはできる。
 はいで手を挙げる、いいえで腕組むのジェスチャーは可能。
 選択肢を提示しても、はい、いいえのジェスチャーによる選択はできない。
 同時に提示することで、選択するようにした。
 視線によって自分の好みのものを選択できるようにした。
 ジェスチャーのはい、いいえはできても、はい、いいえそのものの意味理解ができていなかったのである。
 今後、そうした意味理解できるようにすることが課題になる。
  
  (ケー)
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