適切な提示により本人が選択肢を理解する

 23, 2016 07:19
 初めは反響言語によって応えていた障がい児が、10種類もの選択肢から本人の要求を伝えることができるようにした。
 それが以下のような事例である。
 音声言語ばかりに頼るのでなく、本人が理解できるシンボルを使用した結果である。
  
 本論文の紹介は第72回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

3 コミュニケーション出来るが自分で決められない(自己決定出来ない)

3-3 選択肢を理解できない

 知っているものでもその情報の形が違うと分からないことがある。
 例えば牛乳パックを見て理解できても,「ぎゅうにゅう」と言われると理解できない人がいる。
 また,個々の選択肢を知っていたとしても,それについて情報があまりに多いとどうしていいか分からなくなることがある。

C-1 情報を分かりやすくする(情報をアクセシブルにする)

【事例】

T-20 適切な提示により本人が選択肢を理解する

 対象は養護学校の小学部2年生の自閉症をもつXさんである。
 Xさんは,音声で伝えられたことを理解して行動することは出来なかった。
 例えば,選択をする際に音声で「牛乳にする。お茶にする」というと「お茶にする」と答え,「お茶にする。牛乳にする」と問うと「牛乳にする」と答えるのである。
 つまり,後のほうのことばを反響言語で応えるのである。

 最初は,音声で理解することが出来ていると思っていた担任の先生は,音声で選択する機会をもつようにしていたのであるが,上記のように反響言語であることに気がつき,選択の方法を変えた。
 ホワイトボードにラミネートされた磁石をつけたシンボルを貼り,それを使って選択することが出来るようにしたのである。
 2種類からはじめ,現在では10種類くらいある中から自分がしたいことを選んで持ってくることが出来るようになっている。
 選択肢を提示する際に,その人に理解することが出来るような形で提示する必要があるという例である。

(つづく)

【引用終わり】



 上記のように、音声を発することができる障がい児は言語理解していると思いがちである。
 しかし、単なる音声模倣しているだけという場合がある。
 意味理解していないのである。
 支援者はそれを見極める必要がある。
 上記の事例は、視覚的なシンボルの導入によって、本人の要求が明確にとらえることができるようになった。
 本人と支援者の関係がスムーズになったのである。
 本人の自発行動も多くなったはずである。
  
  (ケー)
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