理解出来るように働きかける

 07, 2016 05:00
 以下の事例で紹介するのは、音声言語による理解が難しい障がい者への対応の仕方である。
 2つの対応法を取り上げている。
 第1は、言葉以外のモードを利用するやり方である。あらゆる感覚を使って伝えていくやり方だ。
 第2は、伝えることを段階的に分割するやり方である。
 いずれも時間をかけてゆっくりとやる。
 相手の反応をよく見ながら進めるのである。
 その具体例は、以下を参照のこと。
  
 本論文の紹介は第56回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

2-2 発信行動が未熟

B-2 理解出来るように働きかける

 言葉で指示しても理解出来ない人は大勢いる。
 そんな人たちに対しても多くの人は言葉で訴えようとしている。
 残念ながら,知らない外国語を何度聞いてもなかなか理解出来るものではない。
 ゆっくり気持ちを込めて分かりやすく話せば相手は理解出来ると考えるのは,時には,無駄なことだという点に気づく必要がある。

 そこで,障害のある人の理解できるレベルで話す必要がある。
 そのために,内容を分かりやすく伝える工夫が必要で,以下の2つの方法が有効である。

•言葉以外のモードも利用する

 声かけだけでなく,体をゆすってみる,匂いをかいでもらう,物を見せるなど,あらゆる感覚で伝えてみよう。
 「ごはんですよ」と伝えても理解出来ない人が,その匂いや実際の料理を見て理解出来ることはよくある。

•伝えることを分割してみる

 「プールに行こうね」という働きかけを言葉で理解してもらうことが出来ない場合,他のモードを利用すればどうだろう。
 しかし実際には,プールを他のモードで伝えることも容易ではない。
 こんな時は,プールに行くという行為を以下のように分割して伝えると分かりやすくなる。

1.車椅子から降りる

 ベルトをはずし,腰を抱えて,「プールだから車椅子から降りよう」と伝えて,様子を観察する。

2.着替える

 「水着に着替えようね」と言いながら服を脱がし,その途中で様子を観察する。

3.プールサイドで水を足にかけながら「水に入る?」と尋ねながら様子を観察する。

 それぞれのステップで拒否の反応が出れば,その行為が嫌なことが分かるので,そのステップで中止する。
 受け入れの反応があれば次のステップに進む。
 何もなければ10秒程度待ってもう一度聞く。それでも無反応であれば次のステップに進む。

 この様に,ステップに分けることで意思の汲み取りが正確になり,彼らの反応に適切にフィードバックすることにもなる。

 この方法はすべての場面で使えるわけではない。
 しかし,簡単な指示場面等では非常に有効である。
 もちろん,この時も,言葉かけをしながら話すことは重要である。
 状況を理解し,そこに言葉があることで,言葉の意味が理解できるはずである。

(つづく)

【引用終わり】



 言葉で伝えることが難しい障がい者には、あらゆる感覚を使った方法が必要である。
 上記の例では、食事場面について取り上げている。
 「ごはん」と言いながら、覚醒レベルを上げるために体をゆすったりする。
 そして、「ごはん」を目の前で見せる。
 「ごはん」の匂いをかがせる。
 そして、ゆっくり口に持っていく。
 相手に合わせ、「ごはん」の量、食べるペースも考えて行う。
 こうしたことも、言葉は使ってないが、一種のやりとりが成立していることである。
 コミュニケーションの一形態と言っていい。
  
  (ケー)
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