コミュニケーションのための環境整備

 22, 2016 05:00
 今まで何度もコミュニケーションシンボルを用いた支援技法に関する事例を取り上げてきた。
 AACと言われるものである。
 AACとは、Augmentative & Alternative Communication の略である。
 補助代替コミュニケーションと言われるものだ。
 コミュニケーションに困難を抱える重度障がい者に用いられている。
 感覚障がいを併せもつ重度障がい者は、こうした代替手段も適切に活用できないケースが多い。
 感覚障がいそのものについてその実態がわかりにくいせいでもある。
 そのあたりのことが、以下の引用に述べられている。  

 本論文の紹介は第41回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-5 環境条件が悪い

E コミュニケーションのための環境整備

E-1 コミュニケーションのための環境を整備する

 感覚障害を併せもつ重複障害の場合,本人の意思を把握するために,従来のAAC技法を適用しようとしても,うまくいかない場合がある。
 例えば,スイッチを押すと大好きなオモチャが動くという場面を設定したいと考えたとする。
 その際,感覚障害がなければ,見たり,聞いたりしてオモチャの動きを楽しむことが可能である。
 しかし,視覚や聴覚にも障害があると,スイッチを押した後に何が起こったかが分からない。
 すなわち,自分の選択がどのように環境を変化させたかが分からないのである。
 したがって,選択肢や選択した結果,何が起こっているかをその人に分かりやすく提示する必要がある。

 選択肢等が分かりやすい環境を整備するためには,その人の見え方や聞こえ方を把握する必要がある。
 なぜなら,まぶしくて見えにくい人には照明を暗くしたり,サングラスを活用する必要があるが,明るさが足りなくて見えにくい人には,机上灯を用意したり,傾斜台を使って採光を工夫しなければならず,見え方に応じて環境の整え方が異なるからである。
 しかし,重度重複障害のケースでは感覚障害の実態が十分に把握出来ていない場合が多い。
 つまり,感覚障害を併せもっているにもかかわらず,その実態はあまり把握されていないのである。
 これは,感覚障害の実態を把握するための一般的な医療検査が,音声言語によるコミュニケーションを基礎にしており,重度重複障害のケースに対応しきれていないのが原因の一つだと考えられる。
 また,感覚障害の状態と環境整備の間の関係が明確にされていない場合も少なくない。
 自己決定を支援する場面では,眼疾患や視力等の感覚機能の状態そのものを知りたいのではなく,どうすれば適切な環境整備が出来るかを知りたいのである。

(つづく)

【引用終わり】



 重度重複障がいのある人がどんな感覚障がいを併せもっているのか、明確にわからない。
 そういった場合どのようなアプローチが適切かはっきりしなくなってしまう。
 いかなる障がいがコミュニケーションを妨げているか、さまざまな対応を試みることだ。
 その試行錯誤こそ、コミュニケーション開発のプロセスとなる。
 しっかりした記録を積み重ね、どんな試みがより良い反応を引き出すか分析していくのである。
 地道な取り組みを多角的継続的に行う必要がある。
  
  (ケー)
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