感覚モダリティ(様相)からの情報が制限されている場合

 20, 2016 05:01
 重度重複障がい児には、コミュニケーションの手がかりが見つけにくいケースもある。
 こうした場合、かかわりの手がかりが得にくい。
 本人には、自分の欲求等の発信があいまいなこともあって、支援者等にうまく伝わらない。
 反対に、支援者からの視聴覚等の発信も本人自身がうまく受け取ることができないのである。
 本人の感覚モダリティ(様相)が障がいされている可能性があるからだ。
 そうした障がいの有無について、支援者側は把握しておく必要がある。
 こうした重度重複障がいのある人について、どのような実態把握をすべきか、以下で述べている。  

 本論文の紹介は第39回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-5 環境条件が悪い

 いつも目を閉じて眠ってばかりだったり、いくつかの選択肢を提示しても、上手に選択ができず、パニックを起こしてしまったりする場合がある。
 何が好きなのか、何をしたいのか、行動を見ていただけでは、よく分からないケースである。
 このようなケースでは、障害が重度だったり、いくつかの障害を併せもっていたりする場合が多い。
 このような場合、かかわりの糸口として、感覚障害の可能性をチェックしてみる必要がある。

 自己決定や自己選択を行う場合、環境からどのように情報を入手するかが大きな問題になる。
 通常、環境からの情報は様々な感覚モダリティ(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、皮膚感覚、平行感覚、筋運動感覚、有機[内臓]感覚)を通して得られる。
 障害が重く、いくつかの障害がある場合、これら感覚モダリティからの情報が制限されている場合が多い。
 例えば、喉が渇いた時に視覚からの情報が得られなければ、目の前のコップにお水が入っていることが分からず、喉の渇きをどういやして良いか分からないという事態に追い込まれ、時として、それが周囲の人にとって不適切とされるパニック行動へと展開されてしまうのである。
 また、聴覚的な情報が制限されているために、周囲の人達が言語的なやりとりをしているのが楽しめず、退屈な時間を過ごすことになり、いつも眠ってばかりいるという事態に陥ってしまうのである。

 どのような自己決定・自己選択がなされるかは、本人の動機を満たすためのどのような選択肢があり、どのようにしてその中から選択をし、選択を行った結果、どのようなことが引き続き起こり、その変化が、自分にとってどのような意味(例えば、快・不快)を持つかによって左右される。
 感覚障害を併せもつ重複障害の人の場合、自分の動機を満たすためにどのような選択肢があるかが分からず、結果として、決定や選択が制限されている場合がある。
 つまり、最初の段階で選択や決定を促すための環境条件が不十分である可能性が高いのである。

(つづく)

【引用終わり】



 重度重複障がいのある人の微細な発信も見逃さない支援者側の対応こそ求められる。
 支援者は、さまざまな働きかけを試みていかなる場合本人が反応しやすいかを見出す必要がある。
 それを手がかりに働きかけて、本人との関係づくりをしていくことである。
 支援者は繊細な職人芸が必要となる。
 
  (ケー)
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