カードの利用により本人の意思伝達が可能になった事例

 18, 2016 05:00
以下は、自閉症児に対するコミュニケーションカードによる要求行動を形成した事例である。
 スクールバスの様子をみたくて、勝手に動き回る本児に対して、こちらの指示にも従えるようにコミュニケーションカードを使っている。
 本児にとって、どうすれば要求行動が明確に相手に伝わるかを学んだ。
 教師側も本児の要求を、どうすると許容するのかを教えることができた。
 やみくもの行動を互いにコントロールできるようになったと言える。 

 本論文の紹介は第37回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-4 発信手段を持たない

 発信手段がなければ訴えることができないのは当たり前のことである。
 外国に行って言葉が分からないときには,あまりコミュニケーションをとりたくない人が多いはずである。
 訴える手段を獲得すると訴える行動も増えてくる。

【事例】

T-12 カードの利用により本人の意思伝達が可能になる

 対象はeくん。
 知的障害を伴う自閉症の男児。
 知的障害の養護学校,小学部の4年生である。
 eくんは簡単な言葉の指示には従えるが,話し言葉はなく直接的な行動で意思を伝えることがほとんどだった。

 担任の教師が困っていたことの1つは,授業中に急に思い立って教室の外に出てしまうことであった。
 行き先は決まっていて,校庭の隅のバスの駐車場であった。
 eくんはバスが大好きで,何台も並んでいるスクールバスを時々見に行きたくなるのだ。

 そこで担任は,勝手にバスの所に行ってしまうのではなく,「バスを見に行きたい」ことを伝えるためのコミュニケーションカードを導入することにした。
 eくんの机の上にバスのシンボルカードを置き,eくんが離席し駐車場に走り出そうとする前に止めて,カードを手渡すことを毎回習慣づけた。
 カードを手渡しに来た場合は,基本的に駐車場に行ってもよいこととした。

 導入してからすぐにeくんはカードを使って,「バスを見に行きたい」と伝えられるようになった。
 また現在では、eくんからの要求のあった後,eくん用のシンボルで作った日課の中に「ここなら行ってもいいよ」とシンボルカードを貼ると,その時間まで待つことが出来るようになっている。

(つづく)

【引用終わり】



 上記の事例によって、本児と教師の関係はより良くなっているはず。
 互いに相手の要求がわかって、フラストレーションも減少したと言える。
 今後、コミュニケーションカードをさまざまな場面に応用できるようになるといい。
 
  (ケー)
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