コミュニケーションカードの利用により要求の仕方を教える

 17, 2016 05:03
 以下は、ほとんど発信・発語のない自閉症児のコミュニケーション指導にコミュニケーションカードを用いた事例である。
 要求の強いおやつの場面を設定した。
 その指導により、家庭でも本人はおやつや外出をカードで要求するようになった。
 設定された指導場面だけでなく、家庭という一般的な状況でもカードによる要求ができるようになった。
 本人にとっても、家族にとっても大きな成果と言える。

 本論文の紹介は第36回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-4 発信手段を持たない

 発信手段がなければ訴えることができないのは当たり前のことである。
 外国に行って言葉が分からないときには,あまりコミュニケーションをとりたくない人が多いはずである。
 訴える手段を獲得すると訴える行動も増えてくる。

【事例】

T-11 カードの利用により要求の仕方を教える

 対象は重度の知的障害を伴う自閉症の男児,対象は重度の知的障害を伴う自閉症の男児,Iくん。
 保育園に通いながら言語療法を受けている。
 ことばの理解はあまりなく,状況に伴うものがいくつか確認できるのみ。
 コミュニケーション手段もクレーンと「物わたし」だけで,頻度も決して多くなかった。

 本児への活動の予告として,写真が有効である場面が確認されていたので,発信手段としても「コミュニケーションカード」が使えないかと考えていた。
 導入として,モチベーションも高く,既にクレーンでの要求がある「おやつ(ポテトチップス)」場面を用いた。

 本児にポテトチップスの袋を見せ,見ているところで開ける。
 本児が欲しがり袋から取ろうとするところで,介助を行い部屋のすみにある机に置いた「カード」を渡すとポテトチップスがもらえることを示した。
 全面的な介助から,机の方に体を向ける,指差しでカードを示すなど,徐々に介助を減らし,自力でカードでの要求ができるように誘導した。
 本人の要求も高く,STによく注目していたので,1度の訓練の中で「カード」での要求が可能になった。

 また,カードでの要求は家庭でも取り入れられた。
 現在では,おやつとジュース,外出に関する要求がカードで可能である。

(つづく)

【引用終わり】



 上記の事例は、コミュニケーションが今までクレーン(要求を相手の手を引いて示す行動)や「物わたし」といった直接行動でしか示すことができなかった。
 それをコミュニケーションカードによる要求行動を引き出すことができた。
 本事例が今後どのようなコミュニケーションの広がりを引き出すことができるか。
 カードのみでなく、発語までもっていければなおいい。
 
  (ケー)
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