適切な代替手段を提供することにより本人の意思伝達が可能になる

 13, 2016 05:00
 脳性まひで発音が不明瞭な人が、VOCAを使った事例が以下のとおりである。
 まだ使い始めたばかりで、使いこなすまではいってない。
 それでも、今までよりはずっといい感じである。
 そこまでにいたる経過が記されている。

 本論文の紹介は第32回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-4 発信手段を持たない

 発信手段がなければ訴えることができないのは当たり前のことである。
 外国に行って言葉が分からないときには,あまりコミュニケーションをとりたくない人が多いはずである。
 訴える手段を獲得すると訴える行動も増えてくる。

A-3 代替手段(ハイテク・コミュニケーションエイド)を提供する

【事例】

T-10 適切な代替手段を提供することにより本人の意思伝達が可能になる

 対象は成人の脳性まひの女性cさん。
 毎日作業所に通っている。
 最近高齢の両親の元を離れ,独り暮らしの準備のため妹と2人で暮らし始めた。
 話し言葉はあるが非常に不明瞭で,かなり親しい人にしか伝わらないし,それでも何度も確認がいることから,cさんは「適当なところで諦める」ことにしていた。

 cさんは今まで特に代替コミュニケーション手段を使ったことがなかったが,独り暮らしを始めるにあたって必要かも知れないと思い,指導員とSTの所に相談に来た。
 文字の理解も十分にあるため,まずトーキングエイドを貸し出して試してみることにした。

 2週間程試してみて,cさんの感想は「時間がかかり過ぎる」だった。
 何か発言しようと思っても「一文字ずつ打っているうちに手遅れになってしまう」のだそうだ。
 結局は不明瞭な言葉で発言し,適当なところで諦めることが続いていたようだった。

 そこで,トーキングエイドの様な文字盤方式ではなく,一定のボタンに言葉をデジタル録音で割り当てられるVOCAを試してみることにした。
 cさんの知的な能力や今後の発展性を考えて,タッチパネルのVOCA「ダイナモ」を使ってみることにした。

 始めは作業所の会議などで使う言葉をcさんと指導員の方と相談しながら入れていった(「ちょっと待って」,「それでいいよ」,「私の意見も聞いて」等)。
 使用後のcさんの反応は上々で,現在他の場面でも使用しながら,購入を検討中である。

(つづく)

【引用終わり】



 言葉が分かって、理解もでき、文字も分かる。
 しかし、筋緊張があって相手が理解できるような発語が難しい。
 それが上記のCさんの事例である。
 脳性まひの人の悩みと言っていい。
 ボタンを押すことで、相手に自分が言いたい言葉を伝達できるようになる。
 今まで、不明瞭な音で何回も繰り返して伝えていたことが、一回で意思疎通できるようになればとても便利。
 本人の意欲もわくはず。
 ボタンの押し方がスムーズにいく練習は必要かもしれない。
 しかし、大変な思いで発語している状況よりはずっと楽なはず。

  (ケー)
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