Yes/Noサインでコミュニケーションする

 02, 2016 05:00
 言葉を発することのできない障がい者とのコミュニケーション手段として、Yes/Noによる二者選択法は有効である。
 以下の引用は、その実践例である。
 事前に選択できるものの準備しておくことの重要性も指摘されている。
 そうしないと、互いのコミュニケーション・ギャップが生じかねないからである。

 本論文の紹介は第21回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-4 発信手段を持たない

 発信手段がなければ訴えることができないのは当たり前のことである。
 外国に行って言葉が分からないときには,あまりコミュニケーションをとりたくない人が多いはずである。
 訴える手段を獲得すると訴える行動も増えてくる。

A-1 ノンテク・コミュニケーション技法を利用する

A-1-3 Yes/Noサインでコミュニケーションする

 我々は,コミュニケーション障害をもつ人との間でYes/Noサインを当たり前のように使っている。
 Yes/Noサインで意思表示できる場合,選択肢を順に口頭で呈示して,1つずつYes/Noのサインを求めていく方法がよく用いられる。
 この方法は,一見簡単に障害のある人の意思をくみ取れるかのように見えるが,使い方によっては,誤解が生じることがある。
 例えば,外に出かけて何を食べるかを決める場合で考えてみよう。以下の会話をご覧頂きたい。

「ラーメンにする?」

(子どもは首を振ってNOの意志表示)

「うどんにする?」

(子どもは首を振ってNOの意志表示)

「ハンバーガーにする?」

(子どもは首を振ってNOの意志表示)

「ピザにする?」

(子どもは首を振ってNOの意志表示)

「そろそろ決めてよ。何も食べたくないの。」

(子どもは首を振ってNOの意志表示)

「それじゃあ牛丼?」

(子どもはしぶしぶYESの意志表示)

 本当はこの子どもは「お寿司」を食べたかったのだが,介助者の顔色を伺って「牛丼」で妥協したわけだ。
 いつまでも出てこない「お寿司」という選択肢を待ち続けるには,相当の忍耐が必要かもしれない。
 また,やはりラーメンの方が良かったと思い直しても前に戻ることは出来ない。
 これでは,正しい選択とは言えない。
 いくつかの選択肢をあらかじめ呈示し,その中から選んで食事しようと最初から伝えておく方が,望ましいと言える。

 また,別の問題も存在する。
 聞く側も,子どもが「牛丼」を食べたいと決定したにも関わらず,近くに牛丼屋の無いことを理由に,選択の変更を求めることはないだろうか。
 こうなると,子どもはますます混乱する。
 聞く側も,思いついたことを順に聞いていくのでなく,あらかじめ,その場で選択可能な候補を準備する必要があるだろう。
 そうすることによって子どもの決定を最大限尊重出来るはずである。

 Yes/Noサインで自己決定を求める時のポイントを表A-1-aにまとめている。

 文字理解のある人は,聴覚走査法(Auditory Scanning)といった方法で文字を綴っていくことが可能である。
 聞き手が「あ,か,さ,,,,」と読み上げて行く。
 例えば「た」で「Yes」のサインがあれば,今度は「た,ち,つ,,」と読み上げ,次に「Yes」サインのあったところで文字を確定する。
 簡便な方法だが,非常に有用な方法である。

(つづく)

【引用終わり】



 支援者は障がい者との関係を密にし、好みなども良く知っておくことが大事である。
 そのことによって、より一層良い関係を築くことになるからだ。
 障がい者の要求や好みをYes/Noサインによって、しっかり把握することは、生活そのものが充実する。
 
 (ケー)
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