意図的な意思表示をどう見出すか

 24, 2016 05:00
 重度の障がいのため身体的な動きに制約がある。
 そのため、音声などによるコミュニケーションができず、体の一部の動きから障がい児の意思を判断しようとするのが、以下の事例である。
 ウエルドニッヒ・ホフマン病という先天的な筋委縮障がいをおこす症状の子どもへの対応に関する考察である。
 動かせる身体的部位は限られている。
 確実に意思表示できる部位はどこか明らかにしなければならない。
 介助者側の思い込みによって誤解が生じないようにすることだ。
 
 本論文の紹介は第12回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-2 発信する必要が無くなっている(意欲低下)

【事例】

T-4 反応を表現する部位を知ることにより意思を正確に読み取る

 対象は,ウエルドニッヒ・ホフマン病のWさんである。
 Wさんは,病院の院内学級で学んでいる。
 1歳くらいで発病しているために,音声によるコミュニケーションをした経験はない。

 担任の先生は,とても熱心な先生であり,Wさんの顔を見ながらいろいろ声かけをしたり,目の前に具体物を見せたりして授業が行われていた。
 先生の声かけがWさんの意図を汲み取っているような問いかけでやりとりがスムーズに行われているようであったので,どこでそれを判断しているのかを尋ねたところ,まばたきでということであった。

 観察していると,そのように見えないこともなかったが,不規則にまばたきしていることもあるように思われ,それは確実に,Wさんの意思を反映しているものとは思われなかった。
 むしろ,手の指の動きなどの方が意図的に動かすことができ,そちらを意思の表出に使った方がいいのではないかと思われた。

 顔が,意思を表すのに適しているという思い込みがあると,受信する大人が勝手に不規則に動いているかもしれないまばたきに,意味付けをしてしまうことがある。
 そのような場合には,発信者側の意思と受信者側の理解にギャップが生じることがある。
 大切なことは勝手に意味付けをするのではなく,意図的に動かすことのできる部位を見つけ,その部位を使って発信する練習ができるようにしていくことである。

(つづく)

【引用終わり】



 以上の事例からわかることは、コミュニケーションが安定して行われやすい身体的部位を探ることである。
 常時つきあっている介助者の判断だけでなく、第三者の目も入れて、障がい者とのやりとりがうまくいく手立てを模索すべきだ。
 より確実なやりとりの手立てを客観的に見出せる。
 
 (ケー)
関連記事

COMMENT 0

WHAT'S NEW?