誰にとってもわかりやすい文章をつくる

 27, 2016 05:00
 わかりやすく書くことの意義は大きい。
 知的障がい者にとってわかりやすいとなれば、多くの人にとってもわかりやすいということである。
 日本語を第二言語とする外国人にもわかりやすくなる。
 障がいのない子どもたちにもわかりやすいと言える。  
 そういう意味からも、わかりやすさがもっと追求されてもいい。
 以下、わかりやすさがどのように追求されてきたか述べられている。



【引用はじめ】

平成17年度「障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会」 代表者 室 津 滋 樹
5 『わかりやすい表現』(plain text)活動・研究の現状と方向性 (p97~.p.107)
分担研究委員
名川 勝 渡辺勧持 薬師寺明子(美作大学) 杉田穏子 (立教女学院短期大学) 花崎三千子 堀江まゆみ 鈴木義弘
鈴木伸住(Sプ ラン三ング) 岩本真紀子 (全日本手をつなぐ育成会)

4.  どうすればわかりやすくできるか

 わかりやすく書くためのマニュアルは、海外のものも含め既にいろいろ出されている。
 外国版については言い換えるべき言葉などいくつかの点でそのまま使えない箇所はあるものの、多 くは参照できる。
 それらについて概観すると、次のような指摘などがある。
 筆者なりに整理しアレンジしてある。
 もともとの具体的な指示は、末尾文献を参照されたい。(本稿はマニュアル提示が目的ではないので概要提示に留める)

(1) これまでに指摘されている工夫

 このように、既に適用すべきポイントはいろいろ指摘されている。
 また、一般の文章指南書についても参考になることはある。
 たとえば本多勝一の 「日本語の作文技術」(朝日新聞社、1982)では、主語と述語の位置関係について配慮することによりわかりにくさを避けるすべを紹介している。
 他にも、文構造を考え、テンとマルの打ち方の意味を考慮することで明快な文章を書けるとも言っている。
 もうひとつ挙げると、 野沢 (2006)の指摘も興味深い。
 そこでは、「難しい言葉や概念」と同じように言葉の"圧縮""省略""専門用語の使用"も含まれることを示している。
 このような特殊な用語の使用は文字数を少なくし、より多くの情報を詰め込むことに役立つが、必ずしも読みやすくするとは限らないので注意が必要である。
 このように、わかりやすく書くということは、誰にとってもわかりやすい文章をつくることとほぼ同じことを指す。

 ただし、ふつうにわかりやすく書く配慮よりももう少し進めたほうが良い部分もある。
 ていねいに書く工夫と言えるかもしれない。
 たとえば野沢 (2006)では「のりしろ」として示されている部分である。
 これを説明するのは難しいが、「文脈から類推することで省略できる説明を省略せず、語句などの重複を行うことによってひとつの文章ごとに切り離しても意味が理解できるようにする書き方」のようになるだろうか。
 この語句などの重複を「のりしろ」と読んでいるのであるが、なんとも言い得て妙な表現である。

 またもうひとつ重要な指摘として、当該文書公刊に際してあらかじめわかりやすい表現版を掲載する方針を立てること、原稿脱稿時にリライトするための時間的余裕を十分に取っておくことが必要であるともされていることを付記しておく。

(つづく)

【引用終わり】



 わかりやすくすることは、従来の表現とは自ずから異なる部分が出てくる。
 それをリライトするとなると、手間がかかる。
 この手間をかけられるか。
 さらに、最初からわかりやすいものにすべきだという意見も出てくる。
 そうしたことができるか。
 それだけの社会的余裕があるか。
 知的障がい者が社会の一員であることを認識していれば、わかりやすい情報提供をもっと広めなければならない。
 
 (ケー)
関連記事

COMMENT 0

WHAT'S NEW?