簡単にはわかりやすく書けない

 23, 2016 05:00
 文章に関する「わかりやすさ」は、厳密に学問的に解明されていない。
 漢字や語彙の難易については、どの程度だということはわかってきている。
 しかし、文の組み立てはどうあれば良いかといったルールの解明は、不十分だ。
 以下、それの見解が述べられている。



【引用はじめ】

平成17年度「障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会」 代表者 室 津 滋 樹
5 『わかりやすい表現』(plain text)活動・研究の現状と方向性 (p97~.p.107)
分担研究委員
名川 勝 渡辺勧持 薬師寺明子(美作大学) 杉田穏子 (立教女学院短期大学) 花崎三千子 堀江まゆみ 鈴木義弘
鈴木伸住(Sプ ラン三ング) 岩本真紀子 (全日本手をつなぐ育成会)

2. 「わかりやすい」(plain)と いうことについて

(4) 経 験的にはわかるが突き詰めると難しい 「 わかりやすさ」

  このテーマについて検討を始めたところで、実は 「 わかりやすい」とはどういうことなのかについては、突き詰めるとよくわかっていないことなのかもしれないというところまでは、少 しわかってきた。
 こんな曖昧な言い方をするのは、現在まだ調査中の部分だからだ。
 国語の先生や言語学、日本語教育、教育心理学、聴覚障害児の読み研究者、などからヒアリングした結果を整理すると、次のようになる。

  まず、同じことを書いた2つの文章を読み比べて、どちらがわかりやすいかは誰であっても言うことができる。
 また、そういうことは当事者ではなくとも経験を積めば教師や支援者でも選べるようになる。
 さらに進んで、わかりやすそうに書くこともできるようになってくる (人もいる)。
 だから、小学校の国語教科書作成に携わっている言語学者に話を聞いても、教科書に掲載する文章は、やはり途中で現場の小学校教師にチェックをお願いするのだそうだ。
 同じように、全日本手をつなぐ育成会の新聞 「ステージ」でも、知的障害のある編集スタッフがプロの新聞記者が書いた文章を修正するし、海外でも当事者のチェックシステムがある。

 しかし、ではAの文章よりもBの文章がわかりやすいのは、どの点が原因なのか、どの程度わかりやすさに違いがあるのか、などは学問的には十分に説明できないようなのだ。
 例えば小学校3年程度であれば漢字はこれくらい、ということはだいたい言えるし、語彙はこれくらいのものを使えばよいということも調査によってわかってきている。
 ところが文構造としてはどうすればよいか、メッセージの組み立てをどうすれば小学校低学年でもわかるようにできるのか、難しい文章を簡単に書き直すためのきちんとしたルールが整理されているのかと言えば、そうでもないらしい。
 例えば小学校程度の漢字と語彙だけを使って文章を書いてもらったとしても、難しく、わかりにくく書 くこともできるでしょうと言えば、漢字や語彙だけでなく文章の組み立てが大切 ということがわかってもらえるだろうか (ここでいう難しさというのは内容が高度ということではない)。

 もちろん、経験的にこうすればわかりやすいということはだいたい見えている (後の節で示す)。
 その経験則によって海外のガイドラインやマニュアルも作成されており、役に立つ。
 しか しそれだけで誰でも必ず (とまでは行かなくともかなりの確からしさで)簡単にわかりやすく書けるかというと、そうでもないというのが現状だろう。

(つづく)

【引用終わり】



 以上のように、わかりやすい文章は誰にでも書けるわけでない。
 それなりに訓練を積む必要がある。
 知的障がい者向けでない文章でも、わかりにくい文章はごまんとある。
 さらに、知的障がい者にわかってもらえる文章表現となると、現状ではごくわずかの実践しかない。
 わかりやすい表現者といったリライターを養成したいものだ。
 点訳者、要約筆記者がいるように。 
 
 (ケー)
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