わかりやすい表現の提供はまだまだ

 19, 2016 05:10
 知的障がい者に対する「わかりやすい表現」はいかにあるべきか。
 それに関する研究論文を紹介する。
 平成17年にまとめられたものだ。
 名川勝等のチームによってまとめたものである。
 こうした問題について、以前から必要性は指摘されながら、関係者以外関心が低かった。
 以下にこうした経緯が記されている。



【引用はじめ】

平成17年度「障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会」 代表者 室 津 滋 樹
5 『わかりやすい表現』(plain text)活動・研究の現状と方向性 (p97~.p.107)
分担研究委員
名川 勝 渡辺勧持 薬師寺明子(美作大学) 杉田穏子 (立教女学院短期大学) 花崎三千子 堀江まゆみ 鈴木義弘
鈴木伸住(Sプ ラン三ング) 岩本真紀子 (全日本手をつなぐ育成会)

古 くて新しいニーズ

 知的障害のある人にかかわりのある文章について、書かれてある本人にも読んでもらえるようにしたい。
 さらに、彼らにかかわりがない文章でも、いやどんな文章であっても、わかりやすく提供されるほうが良い。

 このような試みや考え方自体は、特に目新しいことではない。
 既に先駆的な活動として、全日本手をつなぐ育成会は1992年に 「 自立生活ハンドブック1 ひ とりだちするあなたに」を発行している。
 これはパリでの国際育成会連盟の会議や、その後の日本での育成会全国大会にお ける本人部会の開始などの活動と軌を一にするものである。
 また、1996年には本人向け新聞として 「ステージ」が発刊され、既に10年が経過している。
 そしてこの 「 ステージ」はスウェーデンでの試みにならって作られたということなので、海外ではもっと昔からやっていることになる。

 また、日本リハビリテーション協会でも、英国のメンキャップ (Mencap)が作成した 「わかりやすくしていますか?」(Am l making myself clearP Mencap's guidelines for accessible Writing)を翻訳し、廉価で発行している。
 同じ類のものはカナダの育成会に当たるCACL(The Canadian Association for Community Living)でも作成しており、1997年から既に出されている。

 さらに、ニュージーランドや英国ほか、国として前向きにわかりやすい表現の提供に努めているところもある。
 関連したホームページも多く見つけることができ、それらはセルフ・アドボカシーの活動と運動していることが多い。
 従ってピープル ・ファーストなどの活動では、当然にわかりやすく表現された文章が多く使われているし、同様に日本のピープル ・ファースト活動においても、わかりやすく書かれた文書を見ることができる。

 そういう意味では、わかりやすい表現を提供することの重要性は、ある程度理解されている のかもしれない。

 ただし、では実際に、読み手である知的障害のある人たちに必要な文書が必要なだけわかりやすく行き渡っているのかと言えばそうではない。
 とりわけ日本では、未だに多くの文書は、それが知的障害のある人にかかわりのある内容であっても、その当事者には理解できない文章としてのみ提供されることがもっぱらである。
 実践的な問題、福祉 ・支援システムや政策の問 題、常識としての問題、バリアフリーの問題としては、まだまだこれからということになる。
 さらに後述の通り、基礎的 ・研究的な面でも検討すべき課題は少なからず残されている。(つづく)

【引用終わり】



 知的障がい者に提供する情報は、わかりやすく工夫されているものは少ない。
 結局、知的障がい者本人よりも、それを代行する者がいるという前提で対応しているからである。
 本人主体といった対応がなされていないのが現状だ。 
 わかりやすくする手間が省かれているためだ。
 確かに、一般に流布されている文書をあらためてわかりやすくすることは、簡単でないことは確かである。
 それなりに技術を要することでもある。
 それをあらためるシステムを一般化するには、人材の養成・経費等が必要になる。
 今後、知的障がい者に対する合理的配慮の推進においては、是が非でも普及する必要がある。
 (ケー)





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