アルコール依存症がいる家族は否定的感情が支配

 27, 2015 05:00
 アルコール依存症がいる家族は、互いのつながりがぎくしゃくしてしまう。
 否定的感情の渦に巻き込まれる。
 そうした感情から抜け出せなくなる。
 不信の塊の中で生活することになる。
 以下そのあたりのことが説明されている。
  
 本調査報告書の紹介は65回目になる。



【引用はじめ】

障害のある人の きょうだいへの調査 報告書

障害者の家族支援を目指すための調査研究Ⅱ
-特に支援体制が遅れているきょうだいへの支援を視野に入れて-
平成20年6月発行
財団法人国際障害者年記念ナイスハート基金
http://www.niceheart.or.jp/jigyonaiyomenu/kazokusien/

第2部 障害者のいない家族との比較編

学習会報告(3)
「アルコール依存症者がいる家族」について
講師:水澤都加佐 氏 
ヒーリング&リカバリー インスティテュート所長

1. アルコール依存症が家族にあると、家族はどうなるか

(1) 家族全員が否定的な感情に支配されます。
 父親(夫)が依存症だと、奥さんは、「何で私はこんな人と一緒になってしまったのか」 と考え、子どもも、「何でこんな家に生れなけ ればいけなかったのか」となるのです。

(2) 家族はみんな自分に焦点が当たらなくなります。
 健康でお互いを尊重し愛情がある両親の元にいる子どもは、安心して成長できます。
 家庭は子どもにとって安全な場であるべ きなのです。
 そういう家庭では、子どもも夫も妻もちゃんと家に帰ってきます。
 ところが、父親がアルコールの問題を持つと、夫婦は大体背中を向け合います。
 原因がアルコール問題に限らず、夫婦関係が悪いと、子どもは外にいかなくなります。
 大人は外に行ったきり戻ってきませんが、子どもは自立していなくお金もないので家に引きこもるようになります。
 外の生活(学校や友人との関係)から生ずるストレスを断ち切るのです。
 そして、子どもは、「今日、 お父さんは飲むのか」「両親はまたけんかするのか」、ということに関心を向けます。
 次第に子どもは自分に焦点が当たらなくなるのです。
 依存症者の家庭ではこのような生活が10年 も20年も続きます。
 夫婦間でこのような関係が長く続くと、お母さんは子どもに、二人の関係やお父さんのことを「お父さんのようにならないで」「結婚なんてするものではない」 などと話します。
 お母さんは子どもに不平不満をこぼし、子どもに相談をしているのです。
 ということは、子どもの人生に侵入しています。
 子どももこの二人の関係を何とかしなければここにとどまれないと感じます。
 子どもは大人である親の人生に侵入するのです。
 そして次のタイプの傾向がある子どもになっていきます。

  ① 親の自慢の子どもになるために優等生タ イプ
  ② 自分が問題を起こすことで親の問題から注意をそらすタイプ
  ③ 自分にこれ以上問題がふりそそがないようにするために目立たないタイプ
  ④ ユーモアで家庭の緊張を和らげるひょう きんなタイプ
  ⑤ 親の世話役、愚痴の聞き役となる世話やきタイプ

  こうして、親も子どももお互いの人生に侵入していくこととなるのです。

 (3) 当然、境界線があいまいになります。
 境界線の学習ができていないので、子どもは大人になっても健康な境界が保てないのです。
  たとえば、人がむこうでひそひそ話している と、自分の悪口を言っていると思い込んだりします。
 境界線がひけません。
 イエス、ノーもはっきり言えなくなります。

  (4) 不合理な信念です。
 両親が不仲な家庭で育っている子どもは、お父さんを通して男性 というのはいいかげんで、うそつきで、乱暴で、自分の奥さんを泣かせて苦しめる人だと学習 します。
 かつての健康な信念と入れ替わってしまうということです。
 妻も同じように不合理な信念を持ちます。
 かつての健康な信念は、不健康な信念に入れ替わるのです。

【引用おわり】



 アルコール依存症がいる家族の子どもは、家庭を負のイメージそのものとしてとらえるようになる。
 自己信頼感が不十分なままに育つ。
 他人に対しても信頼感に欠ける。
 自他ともに不信の念を抱くことが多い。
 精神的にバランスのとれない大人に育ったりするのである。

(ケー)
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