ABC-Xモデルという家族ストレス論

 15, 2015 05:00
 家族の危機を分析する上で、ABC-Xモデル説が戦後唱えられた。
 帰還兵の研究から生み出されたものである。
 ルーベン・ヒルが唱えた。
 それについての説明が以下のとおりだ。
 
 本調査の紹介は53回目になる。



【引用はじめ】

障害のある人の きょうだいへの調査 報告書

障害者の家族支援を目指すための調査研究Ⅱ
-特に支援体制が遅れているきょうだいへの支援を視野に入れて-
平成20年6月発行
財団法人国際障害者年記念ナイスハート基金
http://www.niceheart.or.jp/jigyonaiyomenu/kazokusien/

第1部 基礎データ編(アンケート調査)および分析編

学習会(1)
「障害者家族」について
講師:末盛 慶氏  日本福祉大学准教授

3. 家族関係に関する諸理論

 ここまで、社会学的な視点にもとづいて、家族を見てきました。
 以下では、障害者家族に援用が可能と思われる家族関係に関する諸理論に焦点をあてます。
 ここでは3つのアプ ローチを紹介します。

(2)ABC-Xモデル

 家族ストレス論として有名なのがこのABC-Xモデルです。

 このモデルの特徴は、出来事と危機を峻別したことです。
 Aが出来事ですが、これがすぐ危機につながるのではなく、家族の対処資源、出来事に関する家族の意味づけによって、危機になるか否かがわかれるというものです。

 それまでのストレス論は、例えば、何か否定的な出来事の発生=ストレスというモデルで考えられていました。
 しかし、家族ストレス論を生み出した、ルーベン・ヒルは出来事と危機は必ずしもイコールではないと考えました。

 ヒルは第二次世界大戦の帰還兵の研究をしていました。
 同じように戦争の帰還兵を抱えた家族の中でも、出来事に適応している家族と適応できていない家族がいるということが見えてきました。

 つまり、戦争での経験が必ずしも家族危機 とイコールではないということをつかみ始めるわけです。
 同じような部隊で同じように厳しい経験を戦地で経験しているはずなのに、ある人はうまくいって、ある人はうまくいってないというのはなぜなのだろうか?という のが研究の発端だったわけです。

 検討の結果、2つの要因が見えてきました。
 1つがBの家族にある危機対処資源でした。
 これは、どのくらいその家族に経済的/非経済的な資源があるかどうかということを意味 しています。
 もう1つはこの出来事に対する家族の意味づけがどういうものか、というものです。
 つまり、お父さんは大変な思いをしていまは混乱しているけれども、何とかやっていけると家族が認識しているか、していないか?ということが危機につながるかを左右していたということです。

 出来事、家族の対処資源、そして意味づけ。
 これらの3つの要素が相互作用して、その家族が危機になるか否かを決めていく。
 これがABC-Xモデルの基本的な概念枠組になっ ています。

【引用おわり】



 ルーベン・ヒルは米国(ミネソタ大学)の家族社会学者として、帰還兵の社会復帰について研究した。
 特に、家族の役割はどのようなものであるかを調べた。
 その結果、出来事、家族の対処資源、意味づけというABCの要因が相互に作用しあうという学説を唱えた。
 その違いによって、家族が危機的状況に陥るかどうかが決まる。
 いかにすればその危機を回避するかといった対処も研究している。

(ケー)
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