家族システム論の応用

 14, 2015 05:00
 家族関係の分析に大きな役割を果たすものとして、家族システム論がある。
 以下では、不登校を例にして、家族システム論ではどのようにとらえるかを説明している。
 
 本調査の紹介は52回目になる。



【引用はじめ】

障害のある人の きょうだいへの調査 報告書

障害者の家族支援を目指すための調査研究Ⅱ
-特に支援体制が遅れているきょうだいへの支援を視野に入れて-
平成20年6月発行
財団法人国際障害者年記念ナイスハート基金
http://www.niceheart.or.jp/jigyonaiyomenu/kazokusien/

第1部 基礎データ編(アンケート調査)および分析編

学習会(1)
「障害者家族」について
講師:末盛 慶氏  日本福祉大学准教授

3. 家族関係に関する諸理論

 ここまで、社会学的な視点にもとづいて、家族を見てきました。
 以下では、障害者家族に援用が可能と思われる家族関係に関する諸理論に焦点をあてます。
 ここでは3つのアプ ローチを紹介します。

(1)家族システム理論

 主に家族心理学、家族臨床学の分野で大きな勢力をもっている理論です。
 家族支援に関する諸理論の中でも、もっとも影響力をもってきたのはこの家族システム理論といえます。
 文化人類学者であるベルタランフィーが構築したシステム理論を家族にあてはめたのが家族システム理論です。
 システムとして家族を考えた場合には、以下のような見方が導かれます。

 家族とは単なるメンバーの集まりではなく、 それらの人々が作る関係やパターンをもったまとまりであり、個々人を部分として取り出 して理解しようとしても不十分である。

 例えば、父母と子ども2人(兄、弟)の4人家族がいたとします。
 仮に弟さんが不登校だったとします。
 通常の考え方であれば、カウンセリング等の心理的な支援を弟さん、および現代では養育上の担い手となることが多い母親に提供することなどが考えられます。

 家族システム理論では、こうした個人に焦点をあてたアプローチには限界があると考えます。
 (家族全体を視野におさめておらず、根本的な改善を期待できない)。
 家族システム理論の場合、家族成員全員に聞き取りを行い、 家族成員同士の関係のパターンを把握します。
 聞き取りの結果、例えば、父親が弟に対して厳しい期待や要求を重ねていたことが、母および兄の聞き取りで見えてきたとします。
 その場合、介入すべきは、不登校をしている弟ではなく、父親と弟の関係そのものということになります。
 家族システム理論の視点を採用することで、介入するターゲットを新たに発見することができます。

 通常、不登校している男の子がいたら、彼自身が問題を引き起こしていると考えがちですが、家族システム理論の場合、彼は家族内のコミュニケーション・パターンの犠牲者になっているという見方を採ります。
 彼自身が問題を持っているのではなくて、家族システムの問題が(弟さんの)不登校という形で顕在化したと考えるわけです。

【引用おわり】



 家族システム論において、家族内で問題が生ずるのは、本人だけに焦点をあてるだけでは解決しないと考える。
 家族内の力動が互いに影響し合うと捉える。
 従って、問題の解決にあたっては、家族全体への働きかけが行われることになる。
 家族内で複雑に絡み合う問題に一つ一つ焦点を当てていく。
 絡み合った糸をていねいにほぐしていくやり方に例えられるのだ。

(ケー)
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