きょうだいに関して進路への影響はどうだったか

 28, 2015 05:00
 障がい者のいる家族のきょうだいは、進路に関してどんな影響があったか。
 その内容について調べたのが以下の引用である。
  
 本調査の紹介は第35回目となる。



【引用はじめ】

障害のある人の きょうだいへの調査 報告書

障害者の家族支援を目指すための調査研究Ⅱ
-特に支援体制が遅れているきょうだいへの支援を視野に入れて-
平成20年6月発行
財団法人国際障害者年記念ナイスハート基金
http://www.niceheart.or.jp/jigyonaiyomenu/kazokusien/

第1部 基礎データ編(アンケート調査)および分析編
第3章 障害のある兄弟姉妹がいることの影響
第 2 節 人生に影響があったと思うこと
林 浩三

■全体として、半数以上のきょうだいが自分の人生の節目となることを選択する際、「影響がなかった」と答えている一方、しかし、「影響があった」と答えているきょうだいもいるので、その事柄を明確にし、今後の課題解決に向けての参考としたい。

●進路への影響があった 34.2%

 特質的なのは、多くのきょうだいたちが、「福祉・教育・医療・保健関係を選択した」と回答 している。(回答者424人の内、約18%近い78人が回答した)。
 比較的高い数値といっていいと思う。
 何かできることをしたい。
 この数字はきょうだいたちの気持ちをそのまま表している。
 次に多かったのが、「経済的理由や面倒を見るために何らかの制約を受けた」という 回答だ。
 進学(行きたい道)をあきらめ就職した、進学は公立になった等というのが当てはまる。
 3 番目は「同居もしくは居住地を制約した進路選択」があげられる。
 できる限り障害の兄弟姉妹のそばにいて、何かあったらすぐ支援できるようにという気持ちからだ。
 別な視点でいうと一般の家庭では子どもは大きくなれば自立し、各々自分の家庭を築くものだが、ある意味自分のやりたいと思っていることを諦めなければならなかったり、きょうだいたちが自宅を巣立ち行きたい場所に行けなかったりと、その自立を阻んでいる要因にもなっている。

  以上が回答の多かったベスト 3 だが、この他に次のような回答があった。
 「きょうだいの分を含めて高収入を得られる職業選択を親から期待された(兄弟姉妹ができない分代償的に求められたという意味も含めて)。」
 「両親が離婚し影響を受けた」「学校の勉強に集中できなかった」等である。

 いずれも何らかの影響を受けた回答であり、 家族に障害者がいれば、そのきょうだいたちも無関係でいられないということを端的に表している。

進路への影響はありましたか。あった場合、それはどのようなことですか。

影響がなかった 267人 63%

影響があった 145人 34.2%
 ① 福祉、教育、医療・保健関係の学部選択 78件 18.4%
 ② 視野を広げた進路選択 9件 2.1%
 ③ 経済的に安定した職業に向けての進路選択 6件 1.4%
 ④ 親からの期待と強制 8件 1.9%
 ⑤ 家庭での学習環境 3件 0.7%
 ⑥ 同居もしくは居住地を制約した進路 10件 2.4%
 ⑦ 経済的理由や面倒を看るため、親から断念、制約された進学 13件 3.1%
 ⑧ 兄弟姉妹のことが理由による転校、越境通学、受験 5件 1.2%
 ⑨ その他 9件 2.1%
 未回答、不明 12人 2.8%
 全体 424人 100% 141件

【引用おわり】



 障がい者がいたからといって特別進路に影響しなかったのが6割以上だ。
 家族内の正常な対応がなされているということである。
 興味深いのは、影響ありとの回答で福祉関連の学部選択をした人が多かったということである。
 そうした進路選択をしたのが2割近くいる。
 なるほど、障がいのある兄弟姉妹に少しでも役立ちたいといった動機が働いている可能性だろう。
 あとの進路選択に影響した理由はばらけていて、少数だ。みな3%にも満たない。
 それぞれ障がい者がいたからというより、家庭の経済的事情のせいではないかと思われる。

(ケー)
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