知的障がい者の法的定義

 28, 2015 05:01
森はな絵氏は、知的障がい者の定義は法的に存在しないと以下のように述べる。
 森氏の引用は第4回目となる。
 知的障がい者は、戦前から白痴と称するなど呼び名からして差別的な取り扱いだった。



【引用はじめ】

知的障がい者との共生社会の実現
森 は な 絵
www.f.waseda.jp/k_okabe/semi-theses/11hanae_mori.pdf

1.1 知的障がい者の定義

 まずは「知的障がい者」の定義について述べてみる。
 わが国では、身体障害者福祉法(1949 年)第4条で「身体障害者」の定義を掲げているのに対して、知的障害者福祉法(1960 年)には「知的障害者」の定義に関する条項はない。
 示されていたのは全て施設や事業の定義であり、知的障がい者の定義は法的には存在しないのである。
 専門家の中では各種定義が存在していたのだが、何をもって「知的障害」というのか、その判断基準において様々な論議がされた結果、長年法律として断が下されなかった。
 一般的に用いられているのは、 1990年に実施された知的障害児(者)基礎調査の定義で、「知的機能の障害が発達期(概 18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にある者」というものである。
 それより前の1953年に出された文部省(現 文部科学省)の「特殊児童判別基準」によれば、知的障がい者とは「種々の原因により精神発育が恒久的に遅滞し、このため知的能力が劣り、自己の身近の事がらの処理及び社会生活への適応が著しく困難なもの」と定義されている。
 また、障がいの程度によって「白痴・ 痴愚・魯鈍」などと呼ばれ、それらの言葉は戦後も長く用いられていた。
 「白痴」は「全く職業をなし得ない」重度障がい者、「痴愚」は「わずかに職業をなしうる半痴」、「魯鈍」は 「それより軽いもの」とされていた。
 白痴とはもともと漢語で「白癡」と書き、8世紀頃の文献には既にでており、「白」の「明確な」という意味と「癡」の「おろか」という意味 が組み合わさって出来たものと考えられる。
 この呼び名からもわかるように、障がい者は昔から愚か者・邪魔者などといった扱いを受けながら生きていた。

【引用おわり】



 知的障がい者をどう定義するか、専門家内でも判断基準をめぐって一定の合意を得るのが難しかった。
 知的障害者福祉法(1960)では、施設や事業との関連について間接的な定義になっている。
 知的障害児者基礎調査(1990)では、「日常生活に支障が生じているため特別の支援が必要とする状態にあるもの」という定義である。
 特殊児童判別基準(1953)では、「身近な事がらの処理及び社会生活への適応が困難なもの」という定義だ。
 戦前からの「白痴・痴愚・魯鈍」は、職業のできる状態からみて障がい程度を定義している。
 以上、知的障がい者の定義は、生活状態、社会との関係で見ているのである。
   
(ケー)

関連記事

COMMENT 0

WHAT'S NEW?