ケア(介護)する親の葛藤

 07, 2015 05:03
 親は子に対して、いつまでも子供のままでいることを期待しがちだ。
 特にケア(介護)する、ケアされるという立場にあればなおさらである。
 そうした関係が困難になったら、それを他人に任せればいいと簡単には割り切れない。
 長い間の依存関係を解消するなんて単純な話でない。 

 さて、本論文の引用は、第28回目となる。



【引用はじめ】

障害者家族におけるケアの特性とその限界 ―「ケアの社会的分有」にむけた検討課題―

中根 成寿(立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程)

『立命館産業社会論集』2005年3月

3 親密な関係の特性と限界

 他者に体を投げ出さざるを得ず,そしてその他者なしでは生きていかれないからこそ,「ケアの根源的困難性」(天田[2003])にケアを受けるものも提供するものも共に向き合わざるを得ない。
 例えば親がより誠心誠意ケアする心優しい親であろうとすれば,子は成人以降も素直にケアされる子というアイデンティティ を引き受けざるを得ないし,子が自己の独立したアイデンティティを主張すれば,親はケアによって充足する自分というアイデンティティを揺るがされる。
 ケアを媒介にした関係においては,お互いのアイデンティティはいやおうなく固定され,ケア行為によりそのアイデンティティは行為生成的に強化される。
 行為が互いの存在そのものを排他的に規定するのである。
 そこでのケアは単なる行為を超えて過剰な意味をもった激しいやりとりとなる。
 だから家族の中で行ってきたケアが家族の中で供給しえなくなったから,社会化しよう,という単純な平行移動で家族ケアを捉えることの鈍感さは,ケア行為のもつ特質,暴力性,また身体というものの境界線への配慮を欠いているのである。

【引用おわり】



 親は障がいのある子を守らなければと思う。それは、自立の難しい状況のためである。
 しかし、障がいのある子もだんだんと自立できるようになってくる。
 それでも、親は心配である。できないことが気がかりなのだ。
 親には自立を望んでいる面と、自立を望まない両面がある。
 この複雑な思いが、ケア(介護)を社会に任せることを単純に良しとしない。
 こうした思いが突き詰められると悲惨な結果を招きかねないことが起こってしまう。
 このシリーズではこうした事例を紹介してきたのである。

(ケー)
関連記事

COMMENT 0

WHAT'S NEW?